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いま、毎日の厳しいお仕事のなかで強いストレスを感じる保育士さんが増えています。落ち込みがち、不安になる、焦ってしまう、自信が持てない…あなたはこんなことありませんか?いま日本で話題の「マインドフルネス」という考え方を使って、ストレスと上手につきあっていきましょう!

保育士さんのお仕事はストレスフル!

保育士さんのお仕事は、とってもストレスフルですよね。もともと子どもの命や心を守らなければいけないプレッシャーがあるだけでなく、社会情勢によってどんどん厳しさが増していっているように感じます。保護者対応や地元住民の方々とのコミュニケーションにも気をつかいますし、人員削減によって、ひとりひとりが大量の仕事をこなさなければならないという保育園も増えています。

保育のお仕事にも、うつっぽくなったり、実際にうつ病や自律神経失調症になったりしてしまう保育士さんからのご相談が増えています。ぜひ「マインドフルネス」の考え方を学んで、こうした心の病気を防いでいきましょう!

マインドフルネスとは

さて、マインドフルネスってなんでしょうか?なんだか長い横文字で、難しそうにみえますね。少し説明してみます。

マインドフルネスの意味

「マインドフルネス」を分解すると、「マインド=心・注意する」「フル=満ちている」「ネス=こと」 という意味です。直訳すると、「心や注意が満ちていること」という意味です。

マインドフルネスが生まれた背景

マインドフルネスは、仏教の禅や瞑想を基礎にした考え方です。考え方の大きなワクは仏教的ですが、宗教的な要素は除かれています。
約30年前に欧米で注目されはじめ、2010年ごろから日本でも注目を集めるようになってきました。

実際に精神科医やカウンセラーといった心のケアに関わる専門家が、うつ病や不安神経症、PTSD(心的外傷後ストレス障害)などの治療やケアに取り入れています。効果には一定の科学的根拠があるというのが、2016年時点での心のケア業界での定説です。

専門家だけでなく、一般の人たちにもセルフケアとして実践する人が増えてきています。

マインドフルネスの定義

マインドフルネスの定義は、複数のサイトの説明を総合すると、以下のように言うことができます。

「いま・ここ」で起きている現実に集中してよく観察し、「あるがまま」に受け入れること

具体的には…

・現実に集中するとき、「五感」と「心」をフルに働かせます。目、耳、皮膚、舌、鼻をつかって丁寧に現実を感じとり、感じている心の動きにも意識を集中させます。

・「あるがまま」に現実を受け入れるというのは、目の前の現実を、「良い」「悪い」といったことは考えずにそのまま「こういう現実なのだな」と受け入れる、という意味です。

マインドフルネスについて少しイメージがわいてきたでしょうか?

マインドフルネス実践の方法・コツ

イメージがわいてきたところで、実践に入ってみましょう!

現実に集中するというと、仏教の座禅のようにじーっとして瞑想しなくちゃいけないのかな?と思う人もいるかもしれませんが、実際はもっと自由な形で可能です。マインドフルネスは、歩いたり、しゃべったり、音楽を聴いたり、食事をしたりといった日常生活の中で気軽に実践できる心のケア方法です。

五感の実況中継:グラウンディング

グラウンディングとは、グラウンド=接地する、〜イング=〜すること の意味です。つなげると「地面にくっつくこと」という意味になります。

グラウンディングは、心の専門家も実践しています。相談者からとてもショッキングな話を聞いてしまって動揺したときなどに、心を安定させるために使われています。

下記で説明する内容を実践すると、過去の悩みや不安や焦りなどにとらわれていた心が、「いま・ここ」に引き戻されるような感じがするでしょう。心と身体がきちんとつながって地に足がつく感じです。

実践方法

五感で感じることを、心のなかで、または声に出して「実況中継」していきます。

視覚であれば…
「壁が見えます。天井が見えます。カーテンが見えます。窓が見えます。机が見えます。椅子が見えます。自分の手が見えます。自分のかけているメガネが見えます。よく見れば自分の鼻も見えます…」

触覚であれば…
「足の裏に床を感じます。お尻の下に椅子の座面を感じます。下着が直接肌に触れているのを感じます。身体が服に覆われているのを感じます。目がほんの少しかゆいです。手が少し熱いです。額に汗がにじんでいくのを感じます。」

-成人発達障害当事者のブログ decinormal>マインドフルネスとは何か 定義と実践方法 ―「いま、ここ」に集中する

同じようにして聴覚・味覚・嗅覚でも実践可能ですし、運動中でも可能です。

こんなときに

五感の実況中継は、心が動揺してしまったり、悩んでしまったりしているときに役立ちます。

保護者や職場の人間関係で悩んだとき
保護者さんから悩みを聞いたり、対応についてお叱りを受けたり、職場で叱責を受けるなど悩んでしまったとき
過去の記憶が頭に流れ込んできてつらいとき
子どもと接していているとき、自分が子どもだったときのつらい記憶がよみがえってきてパニックになってしまったとき
ショックを受けて動揺しているとき
心臓がドキドキしたり、冷や汗が出たり、手が震えたりするとき。子どもがはしゃいで「危ない!」となる瞬間を目にしたり、不幸にも事故が起きてしまったりしたときなど
心のメンテナンスに
目が回るような忙しさのなかで、心に余裕がなくなってしまったとき。毎日のちょっとしたスキマ時間に

「不安ちゃん」と会話する

不安や焦りにおそわれて動揺したときには、いつでもやってみましょう。不安や焦りを見ないようにするのではなく、向き合うことで不安を解消していきます。そうすることで根本的な対処法がみつかりやすくなります。

実践方法

不安を感じたら、まずそれを「ああ、私は不安だ。私の心の中に不安がある」と現実をそのまま捉える。それについて、不安を抱くことはいけない、とか、そんな自分は弱い、とかいった価値判断はしない。

次に、不安を五感で味わってみる。手のひらでゆっくりと自分の身体に触れながら、不安が影響してこわばったり、熱かったり冷たかったり、心臓であればドキドキしているのをじっくり感じていく。

そして、手をふれたまま、その不安の身体感覚と対話してみる。「この不安はなぜここにとどまっているのだろうか?」「この不安が欲しいのはいったいなんだろうか? 何を与えてほしくて暴れているのだろうか?」など。やりにくいようであれば、「不安虫」とか「不安さん」とか、仮に人格化してそれと優しく会話するようなつもりになってみてもいい。

-成人発達障害当事者のブログ decinormal>マインドフルネスとは何か 定義と実践方法 ―「いま、ここ」に集中する

不安を「自分が感じているもの」と捉えていると、つい批判的になってしまって冷静に見ることができない場合もあります。自分の中にいる不安を「小さくてかわいい生き物」や「大事な親友」と考えて「会話」をしてみましょう。

実際のやりかたについて例を用いて説明します。

「ほかの保育士がほめられるたびに焦ってしまう。小さな失敗をしただけですごく不安になる」という状態を例にしてみます。

胸に優しく手をあてて、心のなかで「不安ちゃん、あなたは何がほしくて、そんなに私の胸で暴れているの?」といたわるように声をかけます。すると、このような感じで会話が進んでいくでしょう。

不安ちゃん:「ほしいもの? この園で一番の保育士って言われたいの」

あなた:「そうなんだね。そう思う理由はなにかな?」

不安ちゃん:「一番じゃないとイヤだから…」

あなた:「そうか。どうして一番じゃないとイヤなのかな?」

不安ちゃん:「そうじゃないと自分がダメな人間みたいな気がするからかな…」

あなた:「なるほど、一番じゃないと自分がダメな人間なんじゃないかって感じるんだね。原因はなにか思いあたる?」

不安ちゃん:「うーん…小さいころからいつもお姉ちゃんと比べられて、お前はダメな子だって言われてたからかなあ?」

あなた:「そうだったね。いつもお姉ちゃんと比べられてダメな子だって言われてた。そうか、一番になれば誰とも比べられないから、ダメな子って思われないですむような気がするのかもしれないね」

ここまでくれば、「誰よりも褒められるいい保育士にならなきゃ!」と焦っていた心が「そうか、小さいころつらかった気持ちが原因で、いい保育士でいなきゃいけないような焦りが出ているんだな」と原因をとらえられるようになりそうです。

原因に気がつくと、「昔からお姉ちゃんと比べられてつらかったな。これからは自分と人を比べるのをやめて、ありのままの姿を大事にしてあげよう」と考えられるようになっていきます。

視点を地球規模に広げて自己肯定感をアップ

自己肯定感が下がってしまったときに、視野を地球レベルまで大きく広げることで「失敗したり弱かったりするのは自分だけではない」ということを思い出して心を落ち着けます。

実践方法

「地球が向こうに小さく見えるほどに心のカメラをずーっと引いていく」ことをイメージしてみてください。

この地球には現在数十億の人間がいる。過去にはもっと多くの人間が生まれ、生き、死んできた。これほど多くの人間たちがいて、自分のように不安を感じたり失敗したりする人は、ほかにもたくさんいただろうし、今もいるに違いない。

私は世界でたったひとりで苦しんでいるのではない。同じように、不幸や、自分の不完全さに苦しみ悩む人が数限りなくいるはずだ。そうでなければあの映画もこの文学作品も生まれなかっただろうし、複数の有名な宗教だって、「人というのは不完全で弱い存在だ」と繰り返し言っている… こんなふうに考えてみるのだ。

視覚的イメージとしては、自分の見えるたとえば半径数メートルの視野だけにとどまっている心のカメラをずーっと大きく引いて引いて引いていって、100メートル範囲、1キロメートル範囲、100キロメートル範囲、そして最後には地球が視野の向こうに小さく見えるほどに引いていく感じをイメージすればいい。

-成人発達障害当事者のブログ decinormal>マインドフルネスとは何か 定義と実践方法 ―「いま、ここ」に集中する

そうすると、「人類みな兄弟」のような温かい感覚に包まれて、孤独感や「自分はダメな人間だ」という感覚も小さくなっていくでしょう。

こんなときに

「私はダメな人間」「私は世界でたったひとりぼっちだ」「私なんて死んだほうがいいんじゃないか」…こういったマイナスの気持ちに心をとらわれてしまったときに使ってみましょう。

自分の欠点や失敗を必要以上に深刻に考えてしまってどんどん気持ちが落ち込み、心の悪循環みたいな状態におちいってしまう人はいませんか?この心の悪循環状態を、専門用語で「自動思考にとらわれている」といいます。自動思考にとらわれる傾向は、うつになりやすい人に多いと言われています。

編集者より

いかがでしたか? なにかとストレスやプレッシャーの多い保育士生活ですが、あなたがいつも心も身体も健康で、長く子どもたちと向き合っていけますようにお祈りいたしております。

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