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乳幼児期は特に感染症にかかりやすい時期。成人までに感染症に一度もかからないということはなく、小児科外来で診察する病気の半数程は感染症とも言われています。これからはかぜや胃腸炎、インフルエンザなどが流行しやすい時期。集団生活を行う幼稚園や保育園では、園内感染に対する対策も重要です!本日は感染症の恐ろしさとその予防策について今一度おさらいしてみましょう。

秋から冬は普通感冒&胃腸炎&インフルエンザにご用心!

マスクをした男の子

朝晩寒さを感じるようになってきたこの頃…これからの時期はかぜ(普通感冒)などの感染症が流行し始めます。まずは基礎知識として主な感染症の流行時期と、これからの時期特に気を付けたい感染症についてチェックしてみましょう。

感染症流行の目安

年によって差はありますが、感染症には流行しやすい時期があります。季節ごとにそれぞれ注意すべき感染症に対する知識を持っておくことが重要です。

感染症流行カレンダー
・普通感冒(かぜ)
・ロタウイルスなどによる胃腸炎
・はしか(麻しん)
・風しん(三日ばしか)
・百日咳
・手足口病
・ヘルパンギーナ
・感染性胃腸炎
・プール熱(咽頭結膜熱)
・とびひ(伝染性膿痂疹)
・りんご病(伝染性紅斑)
・ポリオ(急性灰白髄炎)
・普通感冒(かぜ)
・感染性胃腸炎
・RSウイルスによる細気管支炎
・マイコプラズマ肺炎
・インフルエンザ
・ノロウイルス性胃腸炎
・ロタウイルス性胃腸炎
・RSウイルスによる細気管支炎
・水痘(水ぼうそう)
・溶連菌感染症(溶血性連鎖球菌)
・おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)

秋~冬にかけて乳幼児に多い主な感染症


※一覧中感染症名横の【 】内は主な感染経路を示します。

かぜ症候群【飛沫核・飛沫・接触】
原因 80〜90%はウイルスが原因。そのほとんどは呼吸器系のウイルス感染によるもの。原因ウイルスはアデノウイルス、インフルエンザウイルス、パラインフルエンザウイルス、ライノウイルス、コロナウイルス、RSウイルスなど。
症状 発熱、のどの痛み、咳、鼻水、くしゃみ、全身倦怠感、食欲低下など
経過など 通常は数日~1週間の経過で自然に治りますが、肺炎球菌、黄色ブドウ球菌などの二次感染を併発する恐れがあります。特異的な治療法がないので、対症療法と十分な栄養補給、安静による対処が一般的。
おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)【飛沫核・飛沫・接触】
原因 パラミクソウイルス科に属するRNAウイルス(ムンプスウイルス)の感染によって起こる
症状 発熱、酸味のあるものを食べると痛む、耳の下の腫れ、開口時の痛み
経過など 潜伏期は2~3週間。耳の下が腫れて痛みます。左右両側が腫れますが、片方だけ腫れる場合もあります。通常1~2週間でよくなるものの、内分泌腺や中枢神経系に感染し合併症を起こす危険性があります。対症療法が一般的。
水痘(水ぼうそう)【飛沫核・飛沫・接触】
原因 水痘・帯状疱疹ウイルスが体液や、水疱の飛沫などから感染し発症
症状 微熱、丘疹、紅斑、かゆみを伴う水疱、乾くとかさぶたになる
経過など 潜伏期は約14日。微熱の後、赤いブツブツがあらわれふくらみ、水疱となったのちにかさぶたになります。強いかゆみがあり全身に症状があらわれます。通常1週間ほどで改善されますが、2~5日ほど高熱が続くこともあります。抗ウイルス薬、かゆみ止めの塗り薬、化膿したときは抗菌薬の服薬などを行います。
インフルエンザ【飛沫核・飛沫・接触】
原因 インフルエンザウイルスが鼻やのどについて、せきやくしゃみで広がることで感染
症状 突然の発熱、せき、頭痛、嘔吐、下痢、筋肉痛など
経過など 潜伏期は約1~2日。38℃以上の高熱と、頭痛、全身倦怠感、筋肉痛・関節痛などがあらわれ、咳、鼻水などの症状が続き、約1週間の経過で軽快するのが一般的。胃腸症状も出ることもあります。合併症として中耳炎、肺炎、脳炎を引き起こすことがあります。抗ウイルス薬(タミフルなど)の服用が効果的とされます。
ウイルス性嘔吐下痢症(急性胃腸炎)【飛沫核・飛沫・接触・介達・経口】
原因 ロタウイルス、ノロウイルスなどに感染することで発症
症状 下痢、嘔吐(発熱はあまり見られない)
経過など 突然の嘔吐で始まることが多く、一日に何度も嘔吐します。嘔吐に続いて下痢が見られ3~7日ほど続きます。最近ではロタウイルスに限らず、種々のウイルスによる感染性胃腸炎を急性胃腸炎と呼んでいます。対症療法が一般的。
細気管支炎【飛沫核・飛沫・接触】
原因 RSウイルスなどのかぜのウイルスが原因
症状 咳、鼻水、鼻づまり、咳がひどくなり、ゼイゼイと苦しそうな息になる
経過など 重症になると酸素吸入が必要だったり、脱水症になって入院が必要になることがあります。特に6カ月未満の乳児は注意が必要です。特効薬はなく症状にあわせて対処します。
マイコプラズマ肺炎【飛沫核・飛沫・接触】
原因 マイコプラズマという病原体(微生物)によって起こる肺炎。感染様式は感染患者からの飛沫感染と接触感染
症状 高熱、咳、発疹、全身倦怠、頭痛
経過など 潜伏期は通常2~3週間。初発症状は発熱、全身倦怠、頭痛などです。経過に従い咳は徐々に強くなり、解熱後も長く続きます。鼻炎症状、咽頭痛、消化器症状や胸の痛みを生じる場合もあります。マクロライド系の抗生物質を処方します。
溶連菌感染症(溶血性連鎖球菌)【飛沫核・飛沫・接触】
原因 溶血性連鎖球菌という細菌による感染症
症状 高熱、首、胸、下肢にできる淡紅色の発疹、リンパ節の腫れ、舌にブツブツができる
経過など のどが痛くなり、熱が出て、そのうちに皮膚に発赤ができてかゆくなります。発疹のあとや指先の皮がめくれてくるなどの症状があります。抗生物質を処方します。抗菌薬を飲み始めて24時間以上経過すればうつらないとされます。

【おさらい】感染症予防の基本をチェック!

手のひらを見せる女の子
感染症を防ぐには以下の3つの要因への対策が必要です!

感染症予防の三大要因と主な対策
感染源 消毒、隔離などの物理的な対策
感染経路 感染経路に対する知識を付け経路に応じた対策をする
(手洗い、マスク、消毒など)
感受性(免疫力)
  • 予防接種
  • 自分の体や健康に関心を持ち身体機能を高める
  • バランスのとれた食事の重要性など保護者への伝達
  • 園内感染防止のためにはこれらを職員全員が理解をしたうえで衛生管理に活かす、また保護者へ口頭や書面を通じてわかりやすく伝えることが大切です。また、早期診断・早期治療・感染拡大防止のため、感染症が発症した場合は全職員が情報を共有し、速やかに保護者に伝えることが大切です。

    【感染経路別!】園内感染予防のポイント

    マスクをする園児
    ひとくちに感染症と言っても感染するにはいろいろな経路があります。ここからは感染症の経路を学ぶとともに具体的な予防策をお伝えしていきます。

    感染経路の種類
    《感染経路》 《例》
    接触感染 ドアノブ・器具等接触による間接感染
    介達感染 汚染されたものを媒介する感染
    飛沫感染 咳やくしゃみなどで飛散し、粘膜に付着することで感染
    飛沫核感染 空気感染。飛沫したものが空気中を浮遊し呼吸により吸引する。
    経口感染 感染動物由来の肉、糞便で汚染された水など口を介して感染
    血液感染 注射・歯科治療時や外傷による出血が粘膜に接触し感染
    母子感染 胎内・産道・母乳感染など
    昆虫媒介感染 昆虫・ハエ・鳥(鶏舎)などが媒介。ベクターとも。

    特に気を付けたい飛沫核・飛沫・接触・経口感染対策!

    園児用手洗い石けん
    園内感染予防のためには特に飛沫核感染(空気感染)、飛沫感染、接触感染、経口感染への対策が必要です。園内での対策のみでなく、園外で子どもたちが感染するのを防ぐためにも、おたよりなどでの保護者への情報提供も心がけましょう。

    ◆ 飛沫核感染(空気感染)対策
    空気感染する感染症として保育所で日常的に注意すべきなのは「麻しん」「水痘」「結核」などでしょう。特に水痘については秋から冬にかけて流行しやすいので注意が必要です。空気感染対策の基本は「発病者の隔離」と「部屋の換気」。基本的な症状を確認しておき、早期発見が出来るようにしておきましょう。「麻しん」「水痘」への有効な対策として挙げられるのが予防接種です。保護者への呼びかけで、ワクチンの接種を受けてもらうようにしましょう。

    水痘ワクチンの予防接種は、10月1日より今までの任意接種から定期予防接種に移行され、接種対象者は無料で接種できるようになりました。生後12月から36月に至るまでの間にある子どもの保護者にはかかりつけ医と相談するよう促しましょう。

    ◆ 飛沫感染対策
    飛沫感染は、飛沫を浴びないようにすれば防ぐことができます。咳が出るときはできるだけマスクをする。 素手で咳やくしゃみを受け止めた場合はすぐに手を洗う、粘膜に着いてしまったウイルスは正しいうがいで洗い流すなどを徹底するようにしましょう。

    ▲ 咳エチケットは、ウイルスを他の人にうつさないための基本的な対策。お互いに近い距離で接する集団生活の中では、飛沫感染を完全に防ぐのは困難ですが、咳エチケットの実践で感染拡大を最小限に食い止めることが大切です。


    ▲ 正しくうがいが行えていないと、粘膜にウイルスが付いたままになってしまいます。子どもたちにも正しいうがいを教えてあげることが重要です。

    ◆ 接触感染対策
    接触によって体の表面に病原体が付着しただけでは感染は起こりません。病原体の付着した手で体内への侵入窓口である口、鼻、眼をさわることによって感染することが多いため、すべての職員が正しい手洗いの方法を身につけ、子どもたちに徹底させることを心がけましょう。またタオルの共有はしない、衛生的に管理できる液体せっけんを使う、床、棚、窓、テーブル、遊具等の清掃・消毒を徹底することでも予防できます。

    ▲ 子どもたちが歌いながら覚えられる手洗い歌。楽しみながら正しい手の洗い方が身に付きます。


    ▲ おむつ替えの際に気を付けたいのが使い捨て手袋の外し方。手首の所から汚れた面を引っ繰り返して外し、おむつと一緒に処分できるようにしましょう。

    ◆ 経口感染
    胃腸炎など経口感染する感染症への対策としては、食材を衛生的に取り扱い、適切な温度管理の下で保管すること、病原微生物が侵入している可能性のある食材はしっかりと加熱することが重要です。保育士さんが調理を行わないことが多いと思いますが日頃の生活の中で感染しないよう心がけましょう。調理従事者の手指衛生や体調管理はもちろんですが、家庭での調理器具の洗浄・消毒などに対する指導も大切です。

    《コチラの関連記事もどうぞ》6月~8月は要注意!保育施設での食中毒を防ごう

    保育士さんも要注意!健康のために出来ること

    予防接種の注射器

      【園児の感染症がうつってしまった保育士さんの声】
      実は…何年か前に、半年だけ非常勤で働いた時にクラスにいたお子さんから、インフルエンザをもらってしまって寝込んたことがありました…
      《参考》お悩み掲示板

    大人である保育士さんでも、園児の感染症がうつることもあります。特に疲労が溜まっていたり睡眠不足の場合には体の免疫機能が弱くなりますので注意しましょう!今までに述べた基本的な手洗い、うがい、マスクなどの基本的な予防と同時に下記にも注意しましょう。

    ワクチン(予防接種) による予防

    子どもがかかりやすい感染症に大人が感染すると、ウイルスに対する抵抗が激しいため重症化する場合もあります。子どものころにかかって抗体がある場合が多いですが、心配な際には抗体検査や予防接種を受けるようにしましょう。
    予防接種で防げる園内感染症の一覧

    免疫力アップによる予防

    しっかりと睡眠をとると同時に毎日の食事から免疫力アップを目指しましょう!

    積極的に摂取したい栄養素
    ビタミンA 皮膚や粘膜、リンパ細胞の働きを強化します。抗酸化作用。かぼちゃ、人参、ほうれん草、うなぎ、レバーなど。
    ビタミンB6 免疫グロブリンと呼ばれる抗体のもとで、タンパク質やアミノ酸の生成に役立ちます。バナナ、いわし、マグロ、レバーなど。
    ビタミンC 白血球の一種マクロファージの活性化で、ウイルス増殖の阻止してくれるインターフェロン産生を高めます。ブロッコリー、かぼちゃ、ピーマン、ゴーヤなど。
    ビタミンE 抗体の産生を高めてくれます。モロヘイヤ、カボチャ、アボカドなど。
    セレン 免疫系を構成する免疫細胞の働きを高め、体の免疫機能の低下を防いでくれます。イワシやカレイなどの魚、コンブ、大豆など
    フコイダン 免疫力を高める働きや抗血圧作用の他にインフルエンザウイルスの感染を抑制する働きもあるとされます。メカブ、モズク、ワカメ、昆布など。

    ビタミン&プロバイオティクスたっぷり!ヨーグルトのおやつ

    ヨーグルトに含まれるプロバイオティクスは腸内細菌のバランスを改善してくれることで有名!感染症のリスク軽減、アレルギー発症予防など幅広い効果が期待できます。免疫細胞の働きを高めるビタミンを含むフルーツと一緒にどうぞ!

    [COOKPAD] 朝食に☆みかんと林檎のヨーグルト蜂蜜 by ゆうゆう0221
     みかんと林檎のヨーグルト和えです。蜂蜜が合います。

     

    編集者より


    今の季節は気温の差が激しいもの。皆さま体調など崩されていませんか?ニュースは海外の恐ろしい感染症の話題で持ち切りですが、身近な感染症もあなどれません。抵抗力の弱い乳幼児にとっては命に関わることもあるので、私たち大人が高い意識を持つことでしっかり感染を予防したいものですね。

     

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    参考資料

    《参考》sysmex|乳幼児の感染症のおはなし
    《参考》子どもの感染症
    《参考》感染症.com
    《参考》キッコーマン メディカル ニュース
    《参考》財団法人母子健康協会
    《参考》厚生労働省

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