相互理解を!保護者さんの心をほぐすコミュニケーションのコツ
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保護者さんと会話するときって、いつもバタバタしてしまいがちですよね。事務的な報告だけになってしまったり、熱を出した子どものお迎えをお願いするときだけになってしまったりすることも。保護者さんはお仕事や家事に、保育士さんは目の前の保育で精一杯のなかで、保育士さんが保護者さんにより効果的に心の通じ合える声かけをするにはどうしたらよいのでしょうか?今回は、保護者さんの心をほぐすコミュニケーションをするために知っておきたいことについておとどけいたします。

保護者さんも保育士さんも余裕がない!

働きながら子育てをしている保護者さんの生活って、本当に大変です。しかし、保育士もそれぞれの業務負担は増えるばかり。多忙な日々のなか、特に子どものいない若い保育士さんにはなかなか、保護者さんの日常にある苦労を想像する余裕はないかもしれません。

保護者さんがなかなかお迎えにきてくれなかったために業務の流れが滞り、つい保護者さんにイライラした声で接してしまったなど、自分の声かけのありかたについて後悔したことのある人もいるでしょう。1日の仕事を回すだけで精一杯なのですから、そうなってしまうのも仕方のないことだと思います。

そういう人は少しこの機会に一度、自分が子どもを持って保育園の利用者になったつもりで、保護者さんの苦労を想像してみましょう。あとで詳しく書きますが、「お互い本当に大変ですよね、頑張っていますよね」という形で相互理解ができたら素晴らしいと思います。

互いの背景にある苦労を理解しよう

互いの背景にある苦労を理解しよう

では、保護者さんの背景にある苦労について少し学んでみましょう。

必要な情報が手に入りにくい

働きながら子育てするにあたって必要な情報はあちこちに散らばっていたり、まとまっていてもわかりづらかったりします。保育園入園にあたって保育料や審査制度などについて端から端までひとりで調べなければならなかったという保護者さんは多いです。また皆さんご存じのように、最近は待機児童の問題が深刻化しています。今や「妊娠がわかった時点で保活に入らないと間に合わない」とまで囁かれることもあります。保護者さんは、子どもが園に入園した時点で、すでに多くの苦労を通り抜けてきているのですね。

入園後にも情報不足によって多くの保護者さんが困るのは、予防接種のスケジュール関連のようです。幼児期の子どもには打っておかなければならない予防接種がたくさんあります。しかし、そのスケジュールを一括して管理してくれる国主導のシステムが今のところないため、皆がそれぞれ自分で管理しなければならないのが現状です。

予防接種スケジュールに関しては、以下のような詳しいサイトがあります。

こちらは、生年月日を入れると自動で接種スケジュールを計算してくれる便利なサイトです。困っている人がいたらぜひ紹介してみてください。

後半では、複数の保護者さんから聞き取りした、子育てのなかで情報が足りなくて困っていることの例をたくさん挙げています。そちらもご参考になさってください。

働きながらの子育てはとっても大変

保育園に子どもを預けている保護者は、ほとんどが「働きながら子育てしている人」です。本当にさまざまな苦労があります。

いまの時代子育てするのはなかなかツライ!

いまの社会では子どもや子育てに関することへの風当たりが非常に強いです。最近の話題となっているものを挙げるだけでも、世間からの子育てへのマイナスな反応はこれだけあります。

  • 子どもの声が騒音問題になる(保育園反対運動、公園や交通機関などでのトラブル)
  • マタニティハラスメント(妊娠した女性への嫌がらせ)が企業内だけでなく公共の場でも広がりつつある
  • 企業では育児休業や子育てにまつわる休み・早退などが歓迎されない
  • 子どもを預けて働くことを「親のエゴ」として批判する風潮がある

それだけでなく、社会経済が悪化している今、多くの企業ではひとりひとりの業務負担が増しています。子どもを預けて働きながら子育てすることには大きな苦労がつきまといます。

働くママ・パパの日常は戦場のよう

働くママ・パパの日常は戦場のよう

会社の仕事が大変なときに、子どもが突然熱を出したとします。誰にどこまで頼れるか?病児保育室に頼むなら急いで予約をとらなきゃいけないし…働くママの多くはパニックになるでしょう。誰にも頼れず欠勤を繰り返しているうち、職場で心ない言葉をぶつけられる人もいるようです。毎日朝から晩まで仕事と家事に追われて、子どもについあたってしまったり…働き続けることが正しいのかどうか葛藤にさらされる人も多いでしょう。

パパが子育てにおいてメインの役割を担っている家はさらに少数派ですから、女性とは違った意味で肩身の狭い思いをするでしょう。育休や早退・欠勤のために昇進の道を阻まれたり、パワハラを受けたりする人もいるようです。

苦労を抱えながら…

きっと、保護者さんたちはみんな、このような苦労を抱えながら毎日園に子どもを預けにきているのだと思うのです。子どものいない保育士さんで、保護者さんの言動の理由がうまく理解できないという人は、働きながら子育てをすることの苦労のイメーを頭の片隅に置いてみてください。

子どものいる保育士さんは、保護者さんの気持ちを想像できる貴重な人材になれるでしょう。あなた自身が働く親であり、自分の子どもを人に預けるなどしながら他人の子どもの世話をする仕事をしているからです。預ける側、預けられる側両方の気持ちを体感できるので、毎日のお仕事のなかで保護者さんに的確な声かけができるでしょうし、子どものいない保育士さんと保護者さんとの間の橋渡しの役割をすることもできそうです。

多様な子育てスタイルがあることを理解しよう

ときどき、園の方針や世間の常識と違ったことをする保護者さんがいます。子どもの体調が良くないのになかなか病院に連れていかないとか、食事や日焼け止め、蚊よけスプレーなどを自然派のものに揃えたいとかいった人がいたりします。

こうしたことの良し悪しを決めることは簡単にはできませんし、生活スタイルは基本的には人それぞれなので、園が強制することは好ましくありません。周囲の園児に明らかに悪い影響がある場合は別でしょうが。

円滑にやっていくためのひとつの対応方法としては、「どういう方針なのかを純粋に確認する」というものがあります。どこまで要求に応えられるかは別として、その人がどういう方針で子育てをしているか、どういう点にこだわっているのかを、早めの時点で簡単に確認だけしておくのです。この人はどういう方針なのかな?とモヤモヤ推測しているよりも、サッと聞いてしまって把握しておくというのはよいやり方だと思います。確認したら、どこからどこまでなら応えられるのかを、過不足なく伝えてみましょう。応えられない面については、すみませんが、という言葉を添えて。

保護者さんの苦労に寄り添った声かけをしよう

保護者さんの苦労に寄り添った声かけをしよう

以下、声かけのヒントとして保護者さんが子育て上抱えがちな苦労を、実際の聞き取りケースからピックアップしました。「保育のお仕事」内の関連記事も紹介していますので、よろしければご参考になさってくださいね!

ご飯について

  • 離乳食メニュー(毎日献立を考えるのが大変)
  • 離乳食の量やご飯の硬さ
  • せっかく作ったのに離乳食を食べてくれない

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授乳について

  • 1日の母乳回数や、卒乳のタイミング、進め方
  • フォローアップミルクの必要性
  • 乳腺炎の予兆、対処法

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保育園でも続けられる?知ってるようで知らない「母乳育児」の魅力!

健康について

  • 近所の小児科情報
  • アレルギー、発熱時の対処法
  • 保湿方法
  • 乳がん・子宮がん検診のタイミング
  • 便秘の解決法や、歯の生え方、体重が増えないといった身体の心配

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子どものもしもに備えて【前編】~救急相談窓口&救命処置を知ろう~ | 保育のお仕事レポート

万が一の時…エピペン打てる?知らないと怖い食物アレルギー対応 

かぜや胃腸炎に備えて…子どもと保育士さんを守る感染症予防の知識 

しつけ・習慣について

  • 歯磨きの時期とやり方
  • ネントレ(ねんねトレーニング)方法

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共感の気持ちを伝えあおう

冒頭にも書きましたが、保護者さんも保育士さんも、いまの厳しい時代を生き抜く者どうしです。互いの苦労に共感しあって、ねぎらいあい、認めあい、賞賛しあうことができたら素晴らしいと思います。

毎日必死にお仕事しているのに、保護者さんや近所の方から理不尽なことを言われたりして傷ついている保育士さんもいるでしょう。でも、「みんないい先生で本当に感謝している。むしろ先生たちが大変そうで心配だし、心底同情する」という気持ちを吐露してくれる保護者さんも、実はたくさんいるのです。そのことを忘れないでください。

苦労をわかってもらいたいのも、苦労している自分を認め褒めてもらいたいのも、みんな同じです。保育士さんから保護者さんへ、保護者さんから保育士さんへ、「あなたも私もそれぞれ大変ね。いつもお疲れさま、ありがとう。ほんとうに頑張っていてすごいし、感謝していますよ」そんなふうに言えたら、それがいちばんの声かけになるのだと思います。

編集者より

いかがでしたでしょうか。保護者さんと保育士さんとの間で、少しでも心がほぐされるようなコミュニケーションができたらいいですね。それがきっと子どもたちの笑顔にもつながっていくのだと思います。

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