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“木育”をご存じでしょうか?最近聞かれるようになったこの言葉、興味はあるけれど詳しく知らない…という方も多いのではないでしょうか?本日はこの木育について、どんなものなのか、どこに魅力があるのか、日々の保育にどのように活かせるのか…などについて、全国の取り組み例を交えながらご紹介していきます!

“木育”ってどんなもの?

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木育は平成16年9月に北海道で発足した「木育プロジェクト」から提案された新たな教育です。その理念などについてまとめられた「木育プロジェクト報告書」によれば、木育は次のように定義づけされています。

『木育』とは…
木育とは、子どもをはじめとするすべての人々が『木とふれあい、木に学び、木と生きる』取り組みであり、子どもの頃から木を身近に使っていくことを通じて、人と、木や森との関わりを主体的に考えられる豊かな心を育むことです。
【木育の3つのプロセス】■ 木とふれあう
気軽に木にふれ、木に包まれることで、木の良さを感じる

■ 木と学ぶ
木や森林について関心を深め、知識や技を身につける

■ 木と生きる
家庭や地域、社会で木育が実施・継続されるようにしていく

木と木育の魅力とは…?

木の魅力
・細胞の中に多くの空気を含み、断熱性や保温性に優れる
・紫外線を吸収し、赤外線を反射。目に優しい
・音を吸収、分散により、音をまろやかにする
・衝撃をやわらげる
・調湿作用がある
・体をリラックスさせる
木育の魅力
【心身を健やかに保ち、思いやりと優しさが育つ】
いつでも木にふれられる環境を整えることは心や体を健やかに保ち育みます。 木は長時間かけて育ち長く使える素材。時間の経過とともに愛着など人の営みとの深い絆を生み出し、人や自然を大切にする思いやりを育むきっかけとなります。
【感性や社会性を高める】
木のぬくもりや扱いやすさ、命の営みの体感、森林を舞台とした遊びなど、存分に想像力や創造性を発揮できる場や機会を提供することで、感性や社会性を育むことの大切さに気づくきっかけとなります。
【森林や環境に対する認識を高める】
森林や木材が循環利用可能な再生資源であることなどの認識を持つことの土台となり、ゆくゆくは地球環境保全につながります。

どんな取り組みをしているの?

木馬の遊具

自治体の取り組み

秋田県
林業地域に生まれながら、木材に触れる機会があまりなかった高校生を対象に「木育スクール」を開催。木材に触れる体験から伐採見学、加工までの学習、木製カヌー体験など幅広い体験を通じた木育を実践しています。
埼玉県
木育活動に参加する幼稚園や保育園を募り、一般社団法人埼玉県木材協会の職員が施設を訪問して木に関する紙芝居、かんな削り体験、木のペンダントづくりなどを実施するほか木のおもちゃで遊ぶなどの木育を実施しています。
岐阜県
木育に積極的に取り組む岐阜県美濃市では、赤ちゃんの誕生祝として、地元のヒノキで作られた「うだつみき」というつみきをプレゼントしています。また「木育読本」など幼児や小学生を対象とした木育活動プログラムをまとめたテキストも作成しています。
《出典》木育ラボ

保育園・幼稚園の取り組み

【北海道】むかわ町立さくら保育園
林業の盛んな地域でもあり、木育に積極的に取り組んでいます。園には希望のプールと呼ばれる木製遊具など、木をふんだんに使った遊具があり、森への好奇心をくすぐる絵本の読み聞かせや森林探検など、五感を通じての木育を実践しています。
【埼玉県】学校法人さゆり学園さゆり幼稚園
地域とのふれあいも兼ね、木製品の作成が出来る工房「木楽里」と交流をし、制作などの木育に取り組んでいます。
【岐阜県】社会福祉法人わかば会若葉保育園
県の木育推進事業である木育教室に参加しており、木のアクセサリー作りなどを通して子どもたちの木育に取り組んでいます。

企業や商業施設の取り組み

日本グッド・トイ委員会
市民センターや体育館などを利用した移動式おもちゃ美術館「木育キャラバン」を主催。高品質な木製のおもちゃに数多く触れ合うことができます。東京四谷を拠点に依頼のあった全国各地へ赴きます。
無印良品
無印良品店舗内に、東京おもちゃ美術館監修による「木育広場」の設置が進められ、2013年末時点でに全国24店舗で子どもたちが木のぬくもりを楽しんでいます。渋谷西武店では「木育ルーム」と名付けられた託児所も設置されています。

サミット株式会社
食品スーパーを展開するサミットは山梨県にある「サミットの森」での森林整備活動を支援しています。2013年より、この森から出た木材を活用して「赤ちゃん木育広場セット」を寄贈、寄贈した団体などを対象とした研修会が行われています。

日々の保育に取り入れられる!こんな木育はいかが?

木の成長に思いを馳せて…絵本で学ぼう

絵本は木への興味を与えるきっかけづくりに最適の教材になります。ここでは森に思いを馳せ、木と私たちの生活の結びつきについて考えさせてくれるような絵本をご紹介します!


▲ 子どもたちの目から見た木のすばらしさが素朴な水彩で描かれる絵本。作者の保育経験から書かれているのだそう。木が育てば森になり、秋になれば森の木から落ち葉が落ちて遊べて…生活の豊かさと木の関係性に気づけるかもしれません。5歳頃から。



▲ 幼児から小学生まで幅ひろく読まれる絵本。ふたごのねずみが木のウッディと友だちになりさまざまなエピソードと共に1年を過ごしていきます。花が咲き、実をつけ…そんな木の様子から四季の移ろいを感じられるステキな絵本!



▲ リスのバビーは冬に食べるためのヒッコリーの木の実を穴に埋めました。春になってお母さんが話してくれたリスと木の実の約束の意味を知って…この時期にもピッタリな絵本。柔らかな画風で命の共存の形が描かれます。今までもこれからもかわらない命のつながり…いつか子どもたちが大きくなった時、そんな大切なことに気付けるような絵本です。

ぬくもりあふれる木のおもちゃ

はじめてのおままごと サラダセット (木箱入り) G05-1139
木のぬくもりを肌で感じるには、毎日触れるおもちゃの素材として活かすという方法もあります。市販でも無垢の木の手触りを活かしたおもちゃがたくさんありますし、少し工夫をして手づくりおもちゃを作ることもできます!

木と触れ合うことで感じてほしいこと…
・木に触れたときの気持ち
・木目っていろいろな形に見えるんだ…
・木はどんな匂いがするんだろう?
・手触りの違う木があるんだ…
・暑い日の木はひんやりして寒いときは少し温かい
・木のたてる音は優しい音…
・使いつづけたおもちゃの艶や手触りの違い
……などなど

▲ 【カタカタ人形】
木の人形がカタカタと軽快な音を立てて揺れながら板を下っていくおもちゃ。耳にも心地よく五感を刺激してくれます。微調整が難しいものの、ホームセンターで手に入る材料などで手作りすることもできますよ!
《作り方参考》簡単手作りおもちゃの作り方



▲ ビー玉を転がして遊ぶおもちゃ。木とガラス玉のぶつかる音はとてもリズミカルで心地よい!そうめんなどが入った贈答用の箱があれば、それを利用して作ることもできます!
《出典・作り方参考》簡単手作りおもちゃの作り方



▲ ホームセンターでは、木材をカットしてくれるサービスがあります。事前にカット幅などを設計していけば、オリジナルの積み木をつくることも。写真は音符と音の長さが感覚で覚えられるおもちゃ。
《出典・作り方参考》忍者ブログ保育士さんのアドバイス

手づくりできる!木を使った工作

秋は小枝を集めたり、木の実で工作も楽しめる季節。枝の形の面白さなどに触れる良い機会です。工作の中で木育を取り入れてみませんか?
木を使った工作
▲ 小枝を組み合わせて作られたランプシェード。小さな子には少し難しいかもしれませんが、あらかじめ基本の部分は用意しておけば、飾りつけだけでも楽しめそうですね。
《出典》Amebaブログ


木を使った保育園の工作写真たて
▲ 小枝を切りそろえて組み、その上に木の実やまつぼっくりで飾りつけをしたオーナメント。たとえば台紙を作っておき、ボンドで木の枝を貼り付けるなどのアレンジをすれば、子どもたちの工作にも活かせるアイデアです。
《出典》livedoorBlog


保育園の紙皿工作
▲ 小枝と紙皿、ボンドがあれば簡単に作れるカワイイ工作。これならばサイズに合わせて枝を切ることなく、そのままの形を活かして作品作りが楽しめます!
《出典》exciteブログ

木育を本格的に学んでみよう!

関連書籍から学ぼう!

木育をより深く知る教材として身近なものが書籍。木育の考え方に触れた本や実践形式で紹介する本などさまざまなものがあるので、一度書店で手に取ってみてはいかがでしょう?


▲ 北海道出身で木工デザイナーとして活躍される著者の煙山泰子氏が木育についてあますところなく紹介した、網羅的ガイドブックです。



▲ 入門書としてオススメ。木のぬくもりのある暮らしや木のおもちゃ、身近な自然遊びのヒントなどがたくさん載っています。

セミナーに参加してみよう!

木育に取り組む都道府県などでは、積極的にセミナーを開催しているところもあります。お近くの自治体のホームページなどでチェックしてみましょう!

木育インストラクターを目指そう!

より本格的に、かつ短時間で学ぶならば、特定NPO法人日本グッド・トイ委員会が認定する「木育インストラクター」の資格認定講座を受けてみても。

木育インストラクター資格認定講座
■開催地:東京・大阪
■受講対象者:保育士、幼稚園教諭、教員、子育て支援者、学生など一般の方
■時間:1日/5時間30分
■ 講座内容
・木育概論
・木育プログラムの体験
・木育プログラムの企画提案
・グループワーク、まとめ
《詳細》木育インストラクター

編集者より

編集者が子どものころ、母からもらった無垢の木のペンダントを大切にしていました。理屈じゃなく触れるとわかる温かさや心地よさ…なぜか触れたくなる親しみやすさ…今でもその感覚がよみがえってきます。

“教育”と堅苦しく構えるのではなく、人が古くから生活のそばに置き、親しんできた木を子どもたちの身近にも置いてあげる。それだけでも子どもたちはその良さを感じとることができるでしょう。教育の土台は興味。いつか子どもたちのなかに、自然保護に取り組んだり、モノづくりを担う人物が出てくるかもしれません。

秋は自然に親しみやすい季節。この機会に木育を日々の保育に取り入れてみてはいかがでしょうか。

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参考資料

《参考》木育プロジェクト報告書
《参考》木育のおはなしをしてみよう
《参考》木育ラボ

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