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タブレットにゲーム機…電子端末の使い過ぎが子ども与える影響って?

スマートフォンに携帯ゲーム機、タブレットなどの電子端末機器。最近は知育アプリなど、子ども向けのコンテンツも豊富にあることから、お子さまに使わせているご家庭も多いようです。一方で「危険性はないの?」と心配される方もまた多いのではないでしょうか。本日は電子端末が子どもに与える影響についてまとめてみました!

幼児のスマホ使用率は20%!
一方でジョブズ氏は子どもの使用を制限?!

ゲームをする子どもたちぐずった子どももおとなしく遊び始める…そんな保護者にとって便利な一面もある電子端末。子どもたちも熱中して遊ぶため、つい頻繁に与えてしまうというケースもあるようです。

幼児のスマホ使用率は20%

2歳から小学校就学前までの幼児で、携帯電話やスマートフォンを保有、または家族のものを使う割合は20.1%。乳児でも6.7%にのぼるそう。またタブレット端末を保有する世帯では、幼児の52.8%、乳児の17.2%が端末を使用するとのこと。多くの子どもたちが、電子端末に幼い頃から触れていることがわかります。
乳幼児の携帯スマホ利用率

乳幼児のタブレット端末使用率

あのスティーブ・ジョブズ氏は子どもの使用を制限

アップル社の共同設立者であるスティーブ・ジョブズ氏は、自身の子どもが電子機器をあまり利用しないよう制限していたそう。その他にも多くのテクノロジー関連職に就く保護者の多くが、子どもへの端末使用を厳しく制限しているようです。それはなぜなのでしょうか。
 

電子端末がもたらす可能性のある7つの悪影響とは

スマホを触る保育士さん
電子端末と子どもの発達との関連性については、研究中でもあり、その危険性についてわからない点も多いそう。ここでは現段階で懸念されている子どもへの悪影響について触れていきます。

【1】視力低下

大人でも長時間パソコンを見続けたりすると「目が疲れたな…」と感じます。子どもも同じで、画面を長い時間見ることで眼が疲れたり乾燥しがち。また近くの一点だけを見続けることで、ピントを調節する筋肉が凝り固まり、近視や視力低下を招きかねません。

最近では画面から出るブルーライトを長時間眼に入れ続けることが、視界の中心がゆがむ加齢黄斑変性の原因にもなるといわれています。

【Q】ブルーライトって何?
【A】
ディスプレーなどから出る波長が380~495ナノメートルの青色系の光線のこと。目に見える光の中では最も波長が長いもの。エネルギーが強く、角膜や水晶体を通過して網膜まで届くため、長時間目に入れることで視力に悪影響を及ぼします。

【2】体力低下

基本的に室内で操作する電子端末。長時間熱中してしまうことで、自然と外遊びの時間が減り、運動する機会が失われる可能性が心配されています。骨格や筋肉、運動機能の発達を促すため、また肥満防止のためにも外遊びの時間をしっかりとることが大切です

【3】知能(言語能力)の低下

アニメや動画など受動的なコンテンツの場合に、特に注意したいのが知脳の低下。東北大学の研究によれば、テレビを観る時間が長い子どもほど、脳の「前頭極皮質」と呼ばれる部分で灰白質の量が多くなり、言語能力の低下につながるとされています。

【4】社会性・感受性の低下

電子端末に熱中していると、保護者とのコミュニケーションなど、生身の人間との接触機会が減ってしまいがち。そのことがアイコンタクト、顔の表情を使った表現方法などを学ぶ機会の減少につながるといわれています。

また、カリフォルニア大学ロサンゼルス校の心理学教授は、他者の感情を理解する能力の低下は、携帯電話やコンピューターの使い過ぎによるものであると述べています。

【5】睡眠障害の可能性と集中力低下

睡眠科学者のキャメル・ハリントン博士によれば、電子端末の明るい光は、眠る際に必要なホルモン「メラトニン」の生成を阻害するとのこと。そのために眠りが浅くなったり、不眠になったりする可能性が高くなるとされています。

また睡眠障害などでセロトニンという脳内物質が減少すると、集中力が低下する、イライラしがちになる…といった影響がでることも考えられます。

【6】電磁波の影響を受ける

詳しいメカニズムはわかっていませんが、スマートフォンなどから出る電磁波が、がん、小児性白血病などのリスクを高めることが、WHOなどから指摘されています。電磁波は電気カーペットや電子レンジなど、多くの家電からも出ており、完全に防ぐことはできませんが、気を付けたいものですね。

【7】依存の危険性がある

多くの保護者が心配するのが、スマートフォンやタブレット端末への依存。四六時中熱中してしまっては、上記で述べた悪影響を更に受けてしまうことにもなりかねません。
 

一方で適切な使用時間であれば良い影響を与える一面も…


電子端末は、子どもに必ずしも悪影響のみを与えるものではないようです。アメリカのアウバーン市教育委員会が幼稚園の園児をiPadを利用するグループと利用しないグループに分け、学力向上レベルを比較したところ、iPadが幼児の成績向上につながったとのこと。

また言語能力を育成するアプリを使用した4~7歳の子どもたちの語彙力が伸びたとする研究もあります。適切な使い方であれば、このようなメリットもあるため、上手に付き合っていくことが必要でしょう。
 

上手に付き合っていくために…使用時間や選び方の目安とは

子どもと保育士のイラスト
ではメリットを活かしながらも、なるべく危険性を排除してうまく付き合っていくには、どのようにしたらよいのでしょう。

【point 1】制限を設ける
1日の使用時間に決まりを設けることは、使い過ぎ防止に役つでしょう。知育アプリを開発するスマートエデュケーションの池谷氏によれば、使用時間の目安として2歳以上で2時間以内にするよう伝えているそう。端末のタイマー機能を使うほか、最近は時間制限がかけられる知育端末も販売されているため、上手に活用していきましょう。有害な情報にアクセスできるデバイスの場合には、機能制限をかけることも忘れないようにしましょう。
【point 2】コミュニケーションの機会を作る
タブレット端末の情報だけに没頭しないよう、できる限り親子一緒に使い、適度なコミュニケーションを図ることも大切です。子どもたちをおとなしくさせる手段ではなく、アプリの内容について子どもと話したり、一緒に遊ぶなど、交流のためのツールとして活用できると良いでしょう。
【point 3】ブルーライト軽減の工夫をする
視力低下を防ぐためにはブルーライトが眼に届かないようにする物理的な工夫ができます。画面用の保護フィルムやアプリを使って、できるだけ有害な光を遮断しましょう。
【point 4】正しい使い方を教える
基本的な生活習慣や決まりごとをきちんと教えていくことも重要。「ママとお話しする時にスマホを触っていたら悲しいよ」「このゲームは大人になってからだよ」など、良いことと悪いことを”しつけ”ておくことで、成長してからのトラブル防止にも役立ちます。
【point 5】アプリは開発者の想いの伝わるものを
例えば知育アプリを選ぶ際などは、監修がきちんとされているなど、開発者の想いが見えるものを選びましょう。保護者が体験してみて、子どものことを考えて作られているか、じっくり見てみると良いでしょう。

編集者より


電車の中で熱心にスマホを見つめる小さな兄弟。その横で若いお母さんがほっとした表情で座っていました。数分前までケンカをして弟は泣いていたのに…すっかり泣き止んでいました。

公共の場でぐずってしまったり、泣き止まないとき、ついスマートフォンやタブレットに頼ってしまう保護者の気持ちは、よくわかります。そんなママやパパも、どこかでその危険性を危惧しているのではないでしょうか。

大切なのは何よりも子どもへの悪影響の可能性をきちんと知っておくこと。その上で上手に付き合っていきたいものですね。

参考文献・サイト

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