読了の目安:約8分14秒

免疫力アップ、骨や筋肉の発育を促す、脳を発達させるなど、子どもにとっての睡眠は大人以上に大切なものです。しかしぐっすり眠ったかわいい寝顔の裏に、多くの危険性が潜んでいることをご存じでしょうか?最近注目されている乳幼児突然死症候群や睡眠時無呼吸症候群など、本日は子どもの眠りに潜む危険性についてまとめてみました!

寝ない子は太る?!睡眠不足と肥満の関係性


生活環境の変化から、近年幼児の睡眠不足が増えています。夜10時以降に就寝する子どもの割合は、1歳6カ月、2歳、3歳で半数を超えており、3歳では20%の子どもが夜中の0時以降に入眠しているともいわれています。幼児期の睡眠不足は、子どもの心身に多くの悪影響を与えるとされています。

アメリカの研究で判明!睡眠不足が肥満を招く

米国ハーバード公衆衛生大学院で行われた研究によれば、2歳までの間に、1日あたり12時間未満の睡眠しかとらなかった子どもは、長く眠った子どもに比べて、3歳になって肥満または太りすぎになるリスクが2倍になることが判明したとのこと。テレビを長い時間視聴することが睡眠不足のきっかけとなることも指摘されていますので注意が必要です。

肥満以外にもある!悪影響の数々

子どもの睡眠不足には肥満以外にも気を付けたい悪影響があります。

睡眠不足が子どもに与える悪影響
◆成長の遅れ
◆注意力や集中力の低下
◆食欲不振
◆糖尿病や高血圧などの生活習慣病の発症リスクを高める
◆混乱状態をまねき、イライラ、多動、衝動行為などがみられる
◆心身の活動時間が朝に間に合わず、登園拒否などが起こる

睡眠不足を防ぐ生活習慣

子どもの睡眠不足を防ぐには、家族ぐるみで睡眠習慣を整えるのが一番ですが、仕事などでどうしても難しい場合もありますよね。その際には下記のような取り組みで、子どもが入眠しやすい環境を整えてあげることが大切です。

◆寝室にゲーム機やタブレット、テレビなど刺激になるものを置かない
◆毎朝決まった時間に起床する
◆毎朝朝日を浴び、体内時計をリセットする
◆一日のエネルギー源である朝食をきちんと摂る
◆昼間はたっぷり体を動かす
◆昼寝は3時程度までで切り上げる
◆トイレに行く、あいさつをするなど入眠儀式を習慣づける
◆暗い部屋で寝る(明かりがホルモン分泌に影響する場合も)

子どもが注意したい睡眠障害とは?

眠った幼児を抱く保育士さん
睡眠障害とは生活習慣や心身の状態などが影響し、睡眠に何らかの問題がある状態のこと。睡眠不足や過眠、睡眠時無呼吸症候群などもその一種。最近は乳幼児の睡眠障害も増えているそうです。また乳幼児特有の睡眠障害もあります。ここでは子どもが特に注意したい睡眠障害と対処法をご紹介します。

悪夢
大人に比べて子どもは悪夢を見やすいと言われています。その要因は主に下記の2点。

・夢を見る”レム睡眠”の時間が大人よりも多い
・テレビなどの怖いシーンや日常で経験におけるショックが大きい

ストレスを感じている時などは頻繁に悪夢で目を覚ますことがありますが、極端に頻繁でなければ心配はありません。

【対処法】
おびえる場合には子どもの話を聞いて安心させてあげましょう。あまりに頻繁な場合や、トラウマになるような場合には、精神的に問題を抱えている可能性もあるため、保護者が記録をつけ医師に相談するようにしましょう。
夜驚症
眠りについたのち、極度の不安から目覚めてしまう症状をいいます。悪夢と症状は似ていますが、夜驚症は深い眠り=”ノンレム睡眠”の際に起こり、恐怖の感情をコントロールしている中枢が未発達なことが原因とされています。突然の悲鳴、汗をかく、呼吸が速くなる、心拍数が上がるなどが見られます。発作時子どもはなぜ怖いのかわからず、一種のパニックに陥っています。起きた際には覚えていないのも特徴です。
【対処法】
怖いテレビを見たり、友だちとケンカをするなどの強い刺激が誘因となる場合もあるため、思い当たる誘因がある場合には避けるのも方法です。また夜驚症の子どもの3分の1は夢遊症を伴うため、ケガのないよう見守りましょう。思春期までには通常消失しますが心配な場合には医師に相談しましょう。投薬や運動療法を行う場合や、てんかんとの識別検査をする場合もあります。
夢遊症
睡眠時に子どもが起きだして歩き回るような行動のことです。5歳~12歳程度に多く、全体の10~15%に起こります。脳がまだ未発達であることが原因とされ、成長とともに症状が収まることがほとんどです。動き回っている間子どもは熟睡状態ですので、記憶には残っていません。
【対処法】
意識は眠っているため、無理に起こすのは良くないとされています。家具にぶつかる、または転倒や転落などのおそれがありますのでケガをしないように見守り、静かに布団に連れて行ってあげましょう。症状が出る場合には寝室に危険なものを置かない工夫が必要です。
就寝への抵抗
特に1~2歳では分離不安から寝るのを嫌がることがあります。睡眠開始時間が遅くなったりした後日には、体内時計の睡眠開始時間が遅くなり、就寝を嫌がるケースもあります。
【対処法】
分離不安は大きくなるにつれて消失し、2歳までになくなることがほとんどですが、愛着があるぬいぐるみなどをそばに置く、常夜灯やホワイトノイズをつけるなどでより入眠しやすい環境が作れます。睡眠のリズムの乱れの場合は朝日を浴びると体内時計をリセットしやすくなります。

▲ 子どもが寝つきやすくなると言われるホワイトノイズ(目立たない継続的な音)

夜中の覚醒
就寝前に遊びすぎて刺激を受けた際、ストレスを感じている際などは夜間頻繁に目を覚ますことがあります。ほとんどの場合は目を覚ましても自然に眠りに戻りますが、うつ病などの精神的な病気、むずむず脚症候群、呼吸器疾患・アレルギー性疾患など、眠りを妨げる別の疾患が潜んでいる可能性もあります。
【対処法】
起床時間と就寝時間を一定に保つなど、睡眠サイクルを整えてあげること、また起きだした際に飲み物や食べ物などが与えられることに慣れさせないことも対策のひとつです。他の疾患が原因となっている場合もあるため、頻繁に起こっている場合には医師の診断を受けることも大切です。
夜尿症
幼児期、睡眠時に排尿してしまうのをおねしょというのに対し、6歳以降の夜尿を夜尿症といいます。夜間の尿量が多い、膀胱容量が小さい、心理的ストレスなど要因はさまざまですが、通常は成長に伴い症状が出なくなります。
【対処法】
子どもの性格や育て方が原因ではありませんが、長引く場合には子どもが心理的ストレスを受け、消失時期を遅らせる要因にもなります。また睡眠時無呼吸症候群の場合、夜間の尿量が増えるとされており、関連している場合もあるため、一度医師に相談すると良いでしょう。
睡眠障害についての関連記事もチェック!
【保育士求人ナビ】
成長に深刻な影響を与える可能性も…子どもの”睡眠障害”に注意!

発育に影響も…・睡眠時無呼吸症候群(SAS)の恐ろしさ

眠る赤ちゃん
睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは、睡眠中に呼吸が一時的に止まってしまう病気のこと。鼻を起点とする気道がふさがって起こる閉塞性と、脳や心臓の障害が中枢神経に及んで呼吸ができなくなる中枢性に分かれますが、幼児の場合はほとんどが閉塞性であるといわれています。

子どもの気道がふさがってしまう原因
◆3~6歳で肥大化するアデノイド(のどと鼻の間にあるリンパ組織)の影響
◆5~7歳で肥大化する口蓋扁桃(こうがいへんとう/のどの奥のリンパ組織)の影響
アレルギー性鼻炎による鼻づまり

SASの危険性とは?

大人よりも気道が狭い子どもの場合、SASの影響は大きくなりがちです。最悪な場合には突然死を引き起こしてしまう場合もあり注意が必要です。

SASが子どもに与える弊害
・睡眠不足
・倦怠感
・頭痛
・寝起きの悪さ/起床時の不機嫌
・長時間の昼寝
・集中力の欠如・学力低下
・慢性的な低酸素に伴う精神遅滞
・攻撃的になる/内向的になる
・ホルモンの分泌量減少による成長の遅れ
・肥満
・利尿ホルモン分泌異常による夜尿症(おねしょ)
・最悪の場合には突然死の可能性も…

いびきが見極めのサインに!

睡眠時には口呼吸がうまくできないため、鼻で呼吸をしようとします。しかしSASの場合、鼻呼吸がうまくできず十分な空気が取り込めなくなり【いびき】がおこります。

さらに口呼吸をしようと口を開いても、舌が落ち込んで気道がふさがれ、いびきがさらに大きくなりますので、SAS発見のポイントとしていびきはとても重要になります。下記の症状がある場合には耳鼻咽喉科などの受診をするようにしましょう。

◆慢性的ないびきがある
◆口を開いて寝ていることが多い

原因不明の乳幼児突然死症候群(SIDS)


近年1歳未満の乳児が事故や病気でなく、健康状態も良好にも関わらず、眠っている間に突然死亡してしまう「乳幼児突然死症候群(SIDS)」の危険性が叫ばれています。日本での発症頻度はおよそ出生6,000人~7,000人に1人と推定されており、平成23年には全国で148人の赤ちゃんがSIDSで亡くなっています。

原因と危険因子について

SIDSの原因は不明とされていますが、発症の危険因子としては次のようなものがあり、その危険因子を取り除くことで発症リスクの低減が期待されるとされています。

・生後2カ月~6カ月の子ども
・男児
・早産児・低出生体重児
・冬季、早朝から午前中に多い
・うつぶせ寝をしている
・両親の喫煙がある
・母乳以外の人工栄養で育った子どもに多い

そのほかの予防法は?

うつぶせ寝を避ける、両親がタバコをやめる、できるだけ母乳で育てるなど直接的な危険因子を取り除くほか、次のような対策もリスク軽減に役立つとされています。

・口や鼻の周りに呼吸をふさぐ恐れのあるものを置かない
・ソファやクッションなどに寝かせない
・定期的な呼吸などのチェックを行う
・保育中の検温を行い体調の変化を見逃さない
・いびきなどがある場合には睡眠時無呼吸症候群を疑い適切な治療を受ける。
・体内に熱がこもる「うつ熱」を防ぐため暖房器具の温度を上げすぎない
・衣服を着せすぎない、熱のこもりやすい服で寝かせない

また万が一の際に対応できるよう、心肺蘇生法やAED使用方法を学んでおくことも保育施設などでは重要と言えるでしょう。

睡眠障害についての関連記事もチェック!
【保育士求人ナビ】
原因不明の乳幼児突然死症候群…危険因子を減らして発生を防ごう!

編集者より


私もついつい夜更かしが常日頃になり、睡眠をおろそかにしがちなのですが、子どもの睡眠障害や睡眠不足は、家族の生活習慣も多分に関与しているそうです。

忙しい現代社会、どうしても夕食が遅くなってしまったり、遅くまでテレビがついていることもあるとは思いますが、朝は決まった時間に起きて体内時計をリセットさせる、食事をきちんととり昼はたっぷり遊ばせるなど、可能な限りスムーズな入眠ができる環境を整えてあげたいですね。

参考資料

《参考》アートチャイルドケア
《参考》小学館おやこページ【だっこ】
《参考》睡眠障害ガイドブック
《参考》メルクマニュアル医学百科家庭版
《参考》日本生活習慣病予防協会

友だち追加
保育のお仕事