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“ピラミッドメソッド”をご存じでしょうか?ユニセフが行った子どもの幸福度調査で1位となったオランダ発祥の幼児教育法で、日本の詰め込み式ではなく、考える力や自主性を育てることを重視しています。本日は近年注目されているこの教育法について、その内容やメリット・デメリットを見てみましょう!

学力テスト上位国のオランダが発祥!ピラミッドメソッドとは?


ピラミッドメソッドとは子どもの自主性を育てることを目的としたオランダの幼児教育法のひとつです(対象:3~6歳)。国際的な学力テストにてオランダの子どもたちの学力が高いこと、オランダにおける子どもの幸福度が高いとされることなどから近年注目が集まっています。

◆ピラミッドメソッドに注目する方の声

  • 友人にピラミッドメソッドっていう幼児教育を教えてもらった。オランダなんだね。オランダはサッカーの育成システムや建築家の育成にも成功してるから興味深い。
    《参考》mixiコミュニティ
  • 昨日、俺が保育した保育園♪想像力や創造力がモリモリわくような、木のおもちゃがいっぱい!!【ピラミッドメソッド】っていうオランダの幼児教育法の保育園なんだ☆まだそんなに日本にはないんだよ。
    《参考》ココログ|うれしい絵本読み聞かせ

◆ピラミッドメソッドの発祥

ピラミッドメソッドはピアジェ・ヴィゴツキー理論などをベースとし、オランダ政府教育評価機構Cito(チト)で開発されました。現在オランダ、ドイツ、アメリカ、日本で導入から10年を迎え、今後の国際共通名はPiramide(ピラミーデ)と公称されることが決定しています。

「教える」ではなく「導き出す」教育法の基本

ままごとをする幼児
ピラミッドメソッドでは『自分で選択して決断できる力を養うこと』に重点を置いています。その基本概念をご紹介します。

【4つの基本概念】

■子どもの自主性(やる気)■
子どもたちが自分を取り巻く世界を理解するためには、自主的な取り組みと自主性の維持が重要であり、自主性を育むために「認められたい、自信を持ちたい」という養護的要求が満たされなければならないとされています。
■保育者の自主性(働きかけ)■
子どもたちの自主性を育むには保育者が子どもの要求を考慮した働きかけを行うことが必要です。安心できる保育環境の提供、情緒的な支援、安らぎを与える働きかけのほか支援方法に段階を設けるなどの教育技能を持って働きかけることなどが必要とされます。
■寄り添うこと■
母親と子どもとの良好な関係がもたらす“アタッチメント(愛着)理論”は保育者との関係にも当てはまるという考え方です。子どもが安心して探究活動をするために保育者と子どもとの良好な信頼関係が重要とされています。
■距離をおくこと■
目の前にあることだけを学ぶのではなくて、目に見えないものにも焦点を合わせる学びが、子どもの発達上大切であるという理論です。発達段階に合わせて子どもは具体的なことから取り組みを始め、徐々に外の世界や抽象的な世界へと興味、経験の幅を広げていきます。

保育士さんの関わり方は?

保育士さんの子どもへの関わり方として下記のような特徴が挙げられます。

  • ・子どもへの愛情と信頼関係の構築が土台となっている
  • ・温かく見守り、時に子どもと共に考える保育士さんの存在は絶対不可欠
  • ・集団ではなく子ども一人ひとりと向き合う
  • ・与える・教えるのではなく、子どもの遊ぶ(学ぶ)意欲を引き出すことが大切

こんなことをやっている!実際のプログラムを見てみよう

子どもと遊ぶ保育士
ピラミッドメソッドでは多くの特徴的な取り組みがされています。その代表的なものをご紹介していきます。

■保育室を分ける■

子どもが自主的に遊びに取り組むために、目に見える形で遊びが準備されています。積み木コーナー、絵本コーナーなどパーティションなどで区切られた小さな遊びのコーナーが保育室にいくつもあり、子ども自身が選択をして少人数のグループ、または一人で遊びます。自主性の構築に役立つだけでなく、遊び終わったら片づけてから違うコーナーで遊ぶというルールも身につけることができます

■サークルタイム■

部屋の中心に円を描くように椅子を並べて子どもたちが座ることで、子どもたちは、お友達皆の顔を見て交流でき、保育士さんはより身近に接することができるとされています。

プロジェクトという長期的なテーマにちなんだお話や遊びを展開していくサークルタイムは、時間の秩序を整えたり、自分を表現したり、相手の話を受け止めたり、あるいは発見や楽しみを共有する上で重要な時間となります。保育士さんは時には子どもに質問し、時には遊びや物語を豊かに演出して、子どもがもっと知りたいことや新しい発見へと導くことでテーマへの理解を広げ、深めます。

■プランニングボード■

部屋にあるすべての遊びコーナーを、写真で表示したものがプランニングボード。子どもたちはこれを見て自分のしたいことを決め、名札を貼ってから遊び始めます。自ら選択する力を養う上で重要とされています。

■プロジェクト■

大きさ、数、色と形、家など11あるテーマから月ごとに1つのテーマを決め、長いスパンで行う遊びとして取り入れる取り組みです。例えば「色と形」であれば1週目には野菜を色紙を使って形と色で表現し(トマトなら赤×丸型)ディスプレーする、2週目には実際の野菜を見たり触ったりする、3週目には八百屋さんごっこをする…などどんどん子どもたちの興味や経験を発展させていきます。

ピラミッドメソッドのメリット/デメリット

保育士さんの連絡帳
ピラミッドメソッドで特徴的なのは、子どもたちだけでなく保育者にとっても変化が期待できるとされている点です。実際に教育法を導入した園からは以下のようなメリットがあると言われています。

メリット
【子どもに期待できること】

  • ●安定してしっかりと遊びを満喫できるようになる
  • ●プロジェクトの経験などから遊びに広がりを持たせることができる
  • ●子どもたちの言語表現が具体的になる
  • ●集中して自らの興味に向かうので落ち着きが身に着く
  • ●自分で解決しようとする力がつく
  • ●意思表示がきちんとできるようになる
  • ●自主性が育ち、一人ひとりが自信をもって活動するようになる
【保育士さんに期待できること】

  • ●子ども一人ひとりの顔がよく見え、配慮が必要な子に寄り添いやすくなる
  • ●プロジェクト準備により、保育の方法を発展的に捉えられるようになる
  • ●サークルタイムにおける子どもとの話し合いで子どもに対し新たな気付きが得られる
  • ●子どもとのやりとりが増え、手ごたえや保育の楽しみを感じられる
  • ●新任でもすぐに実践でき、キャリアのある保育者は力をより発揮させられる
  • ●大声で指示語を使っての保育ではなくなる
  • ●保育者同士の意見・情報交換が活発になる。

一方のデメリットはどうでしょうか。人により合う/合わないはありますが考えられるデメリットを挙げてみましょう。

デメリット
  • 【保護者】
    数字や文字を一方的に教えることはしないため受験には不向き
  • 【子ども】
    日本ではまだ取り入れているところが少なく、小学校就学の後、自主性を重んじた環境で育った子どもが浮く可能性がある
  • 【保育士】
    子どもとの関わり方が大きく違うため他の園から転職する場合には戸惑うことが多い可能性がある

ピラミッドメソッド導入の保育園

積み木で遊ぶ幼児

社会福祉法人南友会 かんらん保育園

大阪府吹田市にある保育園。子ども1人1人の個性を認め、自発性を尊重しており、ピラミッドメソッドを導入しています。ショートテニスや武道といった課外活動にも力を入れています。
《参考》かんらん保育園

ピラミッドメソッド千葉保育園

千葉市中央区の認可保育園。園長先生の運営するブログではプロジェクトの様子やさまざまな園の様子がつづられています。
《参考》ピラミッドメソッド千葉保育園

社会福祉法人大阪婦人ホーム 子ロバ保育園

大阪市都区にある保育園。キリスト教精神に基づいています。0~2歳児では育児担当制を取り入れており、各クラス単位からさらに小グループに分けた家庭的な保育が実践されています。クラスごとのプロジェクトの取り組みが毎月おたよりとして掲載されています。
《参考》子ロバ保育園

編集者より


以前紹介させていただいたモンテッソーリ教育や、ヨコミネ式教育法など、幼児期の教育法には多くの種類があります。多くの教育法が子どもたちの自主性を高めるとされていますが、その方法や取り組みはそれぞれに異なります。

保護者の方が子どもを預ける園を考える際や、保育士さんが今後の勤務先を検討する際には、自分の考えや、子どもごとに異なる性格を考慮して、さまざまな可能性からご自身に合った環境を選べると良いですね!

参考資料

《参考》幼児教育おまかせ隊
《参考》子どもと育ち総合研究所
《参考》NPO法人 国際臨床保育研究所

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