心身の能力を伸ばす!子どもに外遊びをさせるべき6つの理由&遊び方参考情報
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子どもの体力低下や小学校での学級崩壊が話題になって久しいですね。原因のひとつに、外遊びや身体を使った遊びの機会が減っていることがあげられています。今回は、子どもに外遊びをさせるべき6つの理由と、子どもの外遊び方法の情報をお届けいたします!保育士さんの毎日のお仕事にお役立てください。

環境の変化が子どもの体力低下につながっている

文部科学省の資料によると、子どもを取り巻く環境に以下のような変化が起きたことを主な原因として、子どもの体力が低下しています。

・生活が便利になるなど子どもの生活全体が、日常的に体を動かすことが減少する方向に変化した。
・スポーツや外遊びに不可欠な要素である時間、空間、仲間が減少した。
・発達段階に応じた指導ができる指導者が少ない。
・学校の教員については、教員の経験不足や専任教員が少ないなどにより、楽しく運動できるような指導の工夫が不十分との指摘がある。

昔と比べて、身体を動かす場所や機会に恵まれない状態にあり、その結果、子どもの体力が低下しているということです。

また、小学校では授業に集中できない、先生の指示を聞けないなど、勉強についていけない子どもも増えてきています。1998年ごろには「小一プロブレム」という言葉も提唱されました。

現代の子どもには、体力の低下だけでなく集中力の低下の低下も起きているということですね。

子どもに外遊びをさせるべき6つの理由

以上、現代の子どもの心身に何か問題が起きているということがわかっていただけたと思います。外遊びは、こうした状況を打開してくれる可能性があります。以下、6つの項目に分けて解説していきます。

五感を刺激して脳を活性化

子どもは、屋外で得られる五感の刺激を受けて脳を大きく発達させます。

白い雲が泳ぐ水色の空、柔らかく肌に当たる風、風にそよそよと揺れる枝葉、香水とは違う、花のいい香り、土や草のにおい、と、家を飛び出して外気に触れた赤ちゃんは、五感をフルに稼働させて、自然を味わい尽くします。
外に出て太陽光を浴びたり、風を感じたりすることは、見る・聞く以外の刺激もたくさん受けられます。

外遊びの自然とのふれ合いが脳を活性化させる | 赤ちゃんから始める!幼児、子供にすべき知育大辞典

発達心理学で有名な実験に、「ネコの赤ちゃんを数ヶ月間縦縞(たてじま)だけしか見えない環境で育てると、その後別の環境に出しても横縞(よこじま)に反応しなくなる」「生まれてから3ヶ月以内のネコの赤ちゃんの片目を覆って育てると、覆われていた側の目はその後覆いをとっても光刺激に反応しなくなる」などといったものがあります。

この実験結果からは、「脳が大きく成長する幼少期には、積極的に外に連れていってできるだけ多様な刺激を与えたほうがいい」ということがいえると思います。

体力がつく

身体の基礎ができあがっていく大切な時期にできるだけ多様な環境に触れさせておくのは体力づくりをするうえで非常に大切なことです。

外遊びをすると五感を刺激したり、雑菌への抵抗力をつけたり、日光をあびることによってビタミンDの形成が促されたりと、外遊びには身体が丈夫になる要素がいっぱい!!
また、肺機能が高まって皮膚が強くなったり、骨が丈夫になる、風邪などに対する免疫ができ、風邪を引いても治りやすいなど、強い身体を作ることができるのです。
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はしゃぎまわったり、泥んこになったりする子どもを追いかけまわし、お世話するのは保護者にとっても保育士さんにとっても大変なことですよね。でも、子どもの将来の丈夫な身体、豊かな人生経験のために、できるだけ受け入れてあげたいものです。

生活リズムが整う

午前から昼間にたくさん太陽の光を浴びると、夜に自然と眠くなるホルモン「メラトニン」の分泌量が増えて寝つきがよくなると言われています。

大人も子どもも「頭ばかり使って身体は使わない」傾向が強くなっています。外遊びでたっぷり身体を使って適度に身体を疲れさせておくと、頭と身体のバランスをとることができます。健康的な時間に心地よい疲れに襲われ、パタッと眠りにつくことができるでしょう。

社会のルールを学ぶ機会になる

安全な行動のしかたが学べる

子どもは、いろんな経験をしながら自分の身を守るためのルールを身につけていきます。

・信号が赤や黄色のときに道を渡ったら危ないので、青のときだけ渡る。子どもは小さくて車から見えにくいので、手をあげて渡る。
・足場の悪いところで走ったら転びやすいので、気をつけて歩く。
・転んでぶつけたりすりむいたりしたところは痛い。はしゃぐときにはできるだけ周囲にも注意を払う。
・火は熱くて、触るとやけどする。赤く見えていないところも熱いので、気をつける。
・鋭い葉っぱの中には、不用意に触ると怪我するものがある。
・木製の遊具からはトゲが出ていて手に刺さったりするものがある。
・子どもだけやひとりで水場に近づくと危ないから、必ず大人の人と行く。

上記はほんの一例ですが、こうした経験を重ね、小さな失敗や怪我などを繰り返すなかで、子どもは自分で自分の身を守りながら行動する方法を学んでいくのです。

コミュニケーション力、文化的教養力がつく

外遊びでは、いつもとは違うお友達や、年齢の違う子ども、親や先生以外の大人と関わる機会も多くなります。こうした機会がコミュニケーション能力の向上に役立ちます。

小さい頃に海や川で泳いだり、夜空を眺めるといった自然体験を多く経験した子供ほど、大人になってから年齢が離れた人との会話が上手にできたり、ひな祭りや七夕といった伝統行事を大事に考える傾向が強いという調査結果があります。
子供の外遊びの減少について | 子連れ海外旅行のすすめ

「自分はひとりで生きているのではなく、自然や地元の地域、そこに生きる人たちとの関係の中で生きているんだ」という感覚が自然と育まれ、伝統を大切にする態度も身についていくのかもしれません。

前頭葉が発達して集中力アップ

日本体育大学体育学部教授の野井真吾先生によると、授業に集中するのが難しい「前頭葉そわそわ」型注意散漫の子どもが増えているそうです。

近年、授業中にじっとしていられず歩き回ったり、集中力が持続しなかったり、いつもそわそわキョロキョロして落ち着きがない子どもたちが急激に増えていることが問題になっています。
大脳の中にある前頭葉の発達が、この結果に大きく関わっています。
前頭葉の働きが最も未熟で、集中することが苦手な「前頭葉そわそわ型」は、1969年には小学校入学時に2割程度でしたが、1990年代後半には5~6割になり、2008年では7割にものぼっています。

上記のページでは、実践データをもとに「前頭葉を発達させるのには身体を使った遊びや外遊びが有効だ」ということが説明されています。

集中力不足、小学校の授業についていけないなどの問題の多くは、保育園や幼稚園のうちに身体を使った遊びや外遊びをたくさんしておくと、ある程度防げる可能性がある、ということですね。

思考力・想像力がつく

外遊びで身体全体を使って世界を感じとったり、考えたりイメージしたりする中で、自然と豊かな思考力・想像力を身につけていくことができるのです。

公園で「かくれんぼ」や「缶蹴り」をしているとき、子どもたちは「空間認識力」を使っています。
「木登り」は、縦方向の動きが入るので、「どの枝に、どのように手足をかけるか」を考えながら登る過程で、体全体で立体を把握することができます。
子どもたちに魚を捕らせることがあります。子どもたちは「どうすれば、たくさん魚が捕れるか」を自分たちで考えはじめ、遊びながら「試行錯誤力」や「発見力」を鍛えていくのです。
算数が伸びない子どもの共通点とは!?「外遊び」こそが算数の最高の教材!|本当に頭がいい子の育て方|ダイヤモンド・オンライン

外遊びの方法

公益財団法人日本レクリエーション協会が運営している「子供の体力向上ホームページ」内には、運動遊びの実例がたくさん紹介されています。遊ぶスペースやレベル別に絞り込み検索ができます。

「屋外」という条件で絞り込み検索した結果が以下です。16種類の外遊びが詳しく紹介されています。詳細説明には動画もありますので、ぜひ参考にしてみてください。
子供の体力向上ホームページいろいろな運動遊び一覧

「そとあそ」というサイトでは、子どもの201種類の外遊びを可愛らしいイラストでわかりやすく紹介しています。鬼ごっこだけでも数10種類あり、とても充実した内容です。遊びがネタ切れになりそうなときに役立ちそうですね!
そとあそ 子どもの外遊び201種類 遊び方とルールをイラストや画像で紹介

編集者より

いかがでしたでしょうか。子どもの発達や能力からみた、外遊びのメリットや重要性についてまとめてみました。

子どもの遊ぶ声が受け入れられにくい空気があったり、保育士さんの日々の業務負担が大きかったりして、子どもを思いきり外で遊ばせることがなかなか難しいのも事実ですよね。理想とは違った保育に心を痛めている保育士さんも多いと思います。

「絶対に毎日外に連れていかなきゃ!」とプレッシャーに思う必要はありません。大切なのは「多様な刺激」です。外遊びがかなわないときには、屋内遊びの中で何かいつもと違った要素を取り入れるなどして、少しだけ工夫してみましょう。

目の前の子どもがきょうも1日無事に過ごしてくれることがまずはいちばん大事です。外遊びは確かに大事ですが、それができないからといって思い詰めず、保育士としてのご自分を褒めてあげてくださいね。

参考文献

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