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「叱らなくていい子育て」をご存じでしょうか。ブログや書籍で注目され、子育てに関する講演会も実施している、子育てアドバイザー「保育士おとーちゃん」こと須賀 義一さんが提唱する「叱らない子育て」は、ただ甘やかすのではなく、子供それぞれの発達段階や状況に添って、「受容し」「寄り添い」「個々の持つ力を引き出してあげる」、いわば”個”を重んじた子育て方法です。
 
今回は『保育士おとーちゃんの「叱らなくていい子育て」』を出版され、現在2作目の著書を執筆中の須賀 義一(すが よしかず)さんに伺った、これからの保育士の役割と、子供との接し方のヒントを、前編・後編に分けてご紹介します。

ステキなカフェにて待ち合わせ

取材で利用させていただいたのはこちらのお店〈東向島珈琲店 pua mana〉。東武線の曳舟駅から徒歩5分程度の国道沿いにある、落ち着いたカフェです。今回、お店の中の写真などを撮影することをお許し下さったご主人、ありがとうございます!
 
カフェ外観
弊社スタッフの酒井とともにカフェに到着。木のぬくもりを感じる店内に、思わずカメラを向けてしまいます(笑)。店内は常連客でしょうか、珈琲を楽しみながら本を読む男性や、グループで朝食メニューを注文しながら、子育て話に花を咲かせるママ友たちで賑わっていました。
 
店舗入り口看板
調度品もおしゃれで、どこか遊び心を感じるものばかり。ついつい長居をしてしまいそう…。
 
店内内装
 
店内を見渡しているうちに須賀さんが到着。本日は宜しくお願いします!
 
須賀義一さま
お天気はいまいちだったものの、窓辺の穏やかな光が、梅雨時期らしい落ち着きを店内に与えていました。こちらのお店の看板メニューは、チーズケーキと、半熟カステラなのだと、須賀様が教えて下さいました!これはチェックしなければ…。
 
店内メニューボード
 

保育のエッセンス満載『保育士おとーちゃんの「叱らなくていい子育て」』

 

大島

大島:本日はお忙しい中ありがとうございます。どうぞよろしくお願い致します。

 

須賀さま

須賀さん:よろしくおねがいします。
…そういえば、なんで僕のことをご存じだったのですか?

 
大島:私どもは【保育のお仕事レポート】というサイトを運営しておりまして、記事を書く際に色々とブログを拝見する機会がありまして…。
 
須賀さん:あっ、参考にして頂いていたのですね!(笑)ありがとうございます。
個人ブログと思って、言いたいこと書いてるんで…。
 
大島:いやいや、とんでもない!書籍も拝読致しました!すごい人気ですね!
 
須賀さん:そうみたいですね、全部在庫が出ちゃって…最近また増刷になったので…。
 
大島:私は買えなくて電子書籍で購入しました(笑)。須賀さまの書籍やブログは、子育てに悩む保護者の方にとって、とてもためになるエッセンスが盛り込まれていますよね。現在は2作目も執筆中とか…。
 
須賀さん:ええ、ただ僕も単にホームページで書いているだけでは、続いていなかったと思いますよ。やっぱり、読者の方からコメントを頂いて、「こういうことが知りたい」とか、「こんなところが役にたった」と言われて続けられて来たかな、って思いますね。
 


▲須賀さまの著書。子育て中の保護者の方や保育関連のお仕事に携わる方に、子供と関わるうえで大事な気付きを与えてくれます。子供との具体的な接し方も満載で、すぐに活かせるノウハウにもあふれた1冊。
 

◆保育士おとーちゃんの子育て日記◆
⇒須賀義一さまのブログはコチラ!

 

大島

大島:やはりお問い合わせは保護者の方からが多いのですか?

 

須賀さま

須賀さん:そうですね、ほとんどは子育てをされているお母さまですが、あとは保育士さんとか、幼稚園教諭、それから、中学校の先生も多いですね。

 
大島:中学校の先生ですか?意外ですね…。
 
須賀さん:学校関係で最初にも僕にコンタクトをとってくれたのは、中学校の先生でした。すごくびっくりしてお話を聞いたんです。今まで中学校の先生は、子供に厳しく、ある意味”支配的”な関わりをしていても何とかなっていたのだけれども、今はそれがもう限界に来ている。それで「どうしたらいいんだろう」というところで、悩んでいる方が多いそうなんですよ。
 
大島:あぁ、なるほど…。
 
須賀さん:それで、先生方が、どうやら家庭環境などに原因があるのではないかという模索をされていて、ブログを読んで「研修に使いたい」と問い合わせてくれたんですね。
 
大島:なるほど、確かに、生育歴に関することや、受容のフェーズの大切さというのは、幼児さんだけでなくて、大人同士の関わりや青年期の子供たちとの関わりにも関与しますものね。
 
レアチーズケーキ
打ち合わせをしているうちに、注文した珈琲とケーキが到着!…うわぁ、美味しそう…!「どうぞお先に召し上がってください。」と優しいお言葉をくださる須賀さん。ありがとうございます!
 
同行した酒井が、「くすぐりとか、関根さん笑いとか…。日々の保育でなかなか気づけない保育のポイントがたくさん盛り込まれていて、衝撃でした!」と話すと、「関根さん笑いってわかった?」と須賀さん。
 
例えば隣の席に子供が座っていて、最初にニコって笑いかける、そうすると、ずーっと1時間こっちを見てるんだよね。なんかこの人は面白いことをやってくれる、って子供は感じるんだよね。笑いかけるだけのことなんだけど。
 
須賀さま正面写真
実際に子供に笑いかけるように頭をかがめてニコッと笑みを見せる須賀さん。子供が安心感や満足感を感じられるエッセンスが、ここにも感じられました。
 

「危ない」と過干渉せずにまずは関係性を築く

 

大島

大島:「危ない」っていう言葉に関する記載もありましたね。つい言ってしまいがちなフレーズかと思うのですが…。

 

須賀さま

須賀さん:そうだね、公園なんかで見ていて「危ない」っていう言葉を何回言っているか数えると、ものすごい数言ってしまっている。
 
でも子供はちゃんと自分で考えるから、結局「危ない」って言って過干渉してしまうと、かえって聞かなくなっちゃうし、考えなくなっちゃう。実は何も言わないで、見守ってあげることも大事。

 
大島:なるほど。見落としがちかもしれませんね。
 
須賀さん:子供がチャレンジするときって、大人の方をちらっと見るんだよね。これってやってもいいことなのかどうなのか、確認するために。で…その時に微笑んであげたりすれば、安心して取り組めるし「ん?」って顔をすれば慎重になるし、瞬間的なコミュニケーションがそこで生まれる。その関係性を築くことが、本当は大事なんだよね。
 
大島:そこで意思疎通をしっかりしているんですね、わざわざ大声で言わなくても…。
 
須賀さん:それは子育てでも保育でも一緒で、「関係性」さえ築いてしまえば、いちいち管理しなくても、まとまっていくんだよね。その形にいちど持って行けさえすれば、とても子育てや保育は楽しいし、大人も楽。でもなかなかね…。そこに行くまでがね。
 
須賀さま横顔1
 

子育ての「軸」がなくなっている現代社会

 

大島

大島:『保育士おとーちゃんの「叱らなくていい子育て」』に盛り込まれている子育てのエッセンスは、やっぱり保育士にとっても、同じことが言えるのでしょうか?

 

須賀さま

須賀さん:保育と子育てはイコールじゃない部分もあるけれど、まず「軸」になるのは子育ての部分。でも、今は子育ての軸自体がなくなっちゃっている時代だから、やっぱりそこで難しさは出てくるよね。保育の面でも。
 
保育士さんも、保育理論とかいろいろと学んで来るけれども、実際に園でやっているのは、いわゆる日本のこれまでの「しつけ」の子育てだったりもする。

 
大島:うーん…。
 
須賀さん:「子供を尊重しよう」とか「信頼関係を築こう」って書いてはあるけれど、実践ではやっていないことも多いんだよね。
 
大島:確かに。園の方針にもよりますが、長く務める先輩からの影響だったり、慣例であったり…そういった部分で「教育的な」しつけの保育に染まってしまうこともあるようですよね。
 
須賀さん:うん、それはすごく大きいね。それが良いものであればまだしも、それこそ中には疎外を使って言うことを聞かせてしまったり…。不適切なことが当たり前になってしまっていることもあるからね。
 
昔だったら、家庭の子育ての軸がしっかりしていたから、それでも何とかなっていた部分もあるけれど、これからは難しい。大人は子育てが得意ではないし、共働きで保育も長時間化している。
 
そういう中で「管理するような保育」をしていたら、あっという間に子供の姿は限界を迎えてしまう。そこに気づかなきゃいけないんだけど、頭の硬い真面目な人ほど気づけない現状にある。
 
大島:ああ、なるほど。
 
須賀さん:僕のブログでも、若い保育士さんから「子供を大事にしている保育じゃない気がする」っていうお悩みがたくさん来るけれど、…まぁ、なかなか若い人が、ね?先輩たちにもの申す訳にも行かないよね。
 
(ちょっと困ったような笑顔を見せる須賀さん)
 

保育士としてステップアップするために

 

大島

大島:須賀さんは10年間公立の保育所で働かれてきたのですよね、その時はどうでしたか?やはり管理する保育体制だったのでしょうか?

 

須賀さま

須賀さん:僕の務めていたところは割と良い保育をしていた。もちろん個人差はあったのだけれど、それでも「子供を尊重しよう」とか、そういう視点はあった。
 
だから僕はたまたま良い保育を学べたんだよね。でもね、他の園ではまだ子供を尊重しない保育をしてしまっているところもいっぱいあるよね。

 
大島:そうなんですね…。
 
須賀さん:いままで何とかなっちゃっているからね、危機感が無くてなかなか変わらない。
 
大島:そうですよね、現実的な必要性がないと、変わるきっかけって生まれないものですよね。
 
須賀さん:保育は ”職人のわざ”みたいなところがあって、経験と勘で「うまい保育」になっているからこそ、コトバとかカタチに表現できない。
 
だから、良い保育を実践している保育士がいて、その園の保育の質が高かったのに、その人がいなくなったら、他の保育士には伝わっていないということもある。
 
大島:継承ってやはり難しいものなのでしょうか?
 
須賀さん:ほら、「人に教えることは自分も学ぶこと」ってよく言うじゃない?自分が教えるということは、実践していることを客観視することにもなるから、すごく良い学びにもなる。でも、保育士って職人芸の部分があるがゆえに、そこが割と下手なんだよね…。だから質が維持されていかない、継承していかない。
 
大島:確かに保育の技術や、子育てのコツを持っていても、それをアウトプットされている方って、多くはない気がしますね。
 
須賀さん:だから本当は、保育日誌でもいいから、研究的な視点をもって客観的に捉えることが大切なんだよね。なにもスゴイことじゃなくていいんだけど、例えば問題のある子に対して、どういうところに原因があって、どういう関わり方をしていくべきなのかっていう部分に注目する。保育日誌を単なる日記ではなくて、”研究材料”として活用していく視点を持つと、保育士はもっともっとステップアップしていけるんじゃないかと思うんだよね。
 
結局単なる日記を書いたって、研究的な視点を持って書いたって、仕事の時間を使うのは一緒。だからそういったところで活かしていくと良いよね。
 
大島:それはすごく良い視点ですね!「嫌だなぁ」と思いがちな書類作成でも、分析して自分の保育に活かせれば良いですよね。
クローバーのイラスト
 

★後編につづく…★⇒後編を読む!

 

★今回取材させていただいた方★
須賀 義一(すが よしかず)さま
 
1974年東京都江戸川区生まれ。現在は東京都墨田区に在住する子育てアドバイザー。
大学卒業後、国家試験にて保育士資格を取得。都内の公立保育所にて10年間勤務。その後お子様の誕生をきっかけに退職され、子育てに関する研究を重ねて、現在は既成の子育て理論に縛られない、子供たちの”個”を尊重した関わり方を提案して、多くの保護者や保育関係者より厚い信頼を得ている。著書に『保育士おとーちゃんの「叱らなくていい子育て」』があり、現在2作目を執筆中。小学校4年生の男の子と幼稚園年長さんの女の子のお父さんでもある。
 
◆保育士おとーちゃんの子育て日記◆
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