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政府が2020年度までの実現を目指す、3~5歳の幼児教育無償化。先日5歳児の一部無償化が見送られ、話題となっています。幼児教育無償化については意見も賛否さまざま。本日はその取り組みについて今一度整理し、そのメリットやデメリットについて、また今後の展望について考えていきましょう。

【1分でわかる!】5歳児の幼児教育無償化って?

まずは幼児教育の無償化の流れについて簡単におさらいしておきましょう!
悩む保育士さんのイラスト

20年度までの実現を目指して…3~5歳児教育の無償化

文部科学省は幼稚園や保育園に通う3~5歳児の幼児教育について、20年度までに無償化の実現を目指しています。15年度には、年収が360万円未満の世帯の5歳児教育について、無償化することも検討されましたが、財源確保が難しく見送られ、年収270万円未満の世帯の幼稚園児に限り、保育料を一部引き下げることが決定しました。
保育料引下げ

15年度の保育料引き下げ…所得制限の理由とは?

一言で言えば「財源確保のめどが立たない」ことが原因。3~5歳児の幼児教育の無償化実現のために、必要となる追加公費の額は7,900億円!さすがに一度には難しいため5歳のみから段階的に拡大する予定でしたが、5歳児全員を無償化するだけでも年2,600億円が必要。消費税率の上乗せが延期されたことにより、財源確保がさらに難しくなり、無償化ではなく一部引き下げとなったうえ、所得にも制限が付けられた…というわけです。
 
下村博文文科相は15年度に一部無償化が実現できなかった点について、課題があることを認めつつも、20年度までに3~5歳児全員の無償化を目指す方針は変えない考えを示しています。

賛成?反対?それぞれの声を聞いてみよう!

無償化に対する世論は賛否両論。両者の意見について少し見てみましょう。

【賛成派の声】

  • ありがたいことだと思う
  • 《参考》ガールズちゃんねる

  • とってもありがたい制度だ。人口減少が著しく進んでるし、とりあえず「お金に不安があっても小さいうちは大丈夫!」ってのは大事よね。妊娠出産で退職する人多いし
  • 《参考》Twitter|みゅー♪さん‏@myu_0v0

  • 幼児教育無償化是非を問う。財源がないのはよく分かるが、子どもを育てる環境を整えるのは少子化対策にもなる。僕は賛成だ。
  • 《参考》Twitter|メカ達磨さん@mekadaruma

【反対派の声】

  • うーん。無償化の前に、保育園や幼稚園をもっと増やしてほしい
  • 《参考》ガールズちゃんねる

  • 世帯年収360万円…共働きで頑張ってる家庭からすれば、ちょっと不公平に感じちゃう
  • 《参考》ガールズちゃんねる

  • そんなカネあるなら、幼稚園教諭や保育士の給料あげてやってくれ。
  • 《参考》円速

保護者の負担軽減や少子化などの対策になるという賛成意見がある一方で、保育施設の充実など他の部分への対応を優先してほしい、所得制限が付けられた場合、低所得者のみが優遇されるのは不公平、といった反対意見も多く見られました。

【今後の展望】無償化で幼児教育はどう変わる?

積み木で遊ぶ女児

幼保一元化や義務教育化も合わせ、高質な幼児教育を目指す

幼児教育の無償化の目的には次の2つの目的があります。

  • 【1】子育て世代の経済的な負担を軽減するため
  • 【2】質の高い幼児教育を保障し安心して子育てできる環境を整えるため

【1】に対しては幼児教育の無償化で実現を目指しますが、一方で2に対しては「認定子ども園」の拡充などの幼保一元化、また検討されている5歳児の義務教育化といった取り組みも合わせて、実現を目指していく動きがみられます。

働く上での変化はあるの?

今後幼児教育の変化で、働く環境がどう変わるかは保育士さんにとって気になる部分。現段階では次のようなことが考えられます。

  • ● 保育士・幼稚園教諭双方の資格を持つ必要性が出てくる
  • ● 幼稚園教諭の資質向上のために上級免許の取得が必要になる可能性がある
  • ● 小学校教育への円滑な接続のために、保育士、幼稚園教諭、小学校教諭などの人事交流や合同研修が今後実施される可能性がある

方針の段階のため必ずしも上記のようになるとは限りませんが、資格の併有などは、現状の認定こども園の拡充の動きなどからも早い段階で必要になってくることが考えられますね。

幼児教育無償化のメリットとは?

子どもたちと遊ぶ保育士さん

国のメリット

  • 幼児教育が収入の低い世帯にも受けられ、学力向上などの効果が期待できる
  • 子育てしやすい環境づくりによって少子化対策となる
  • 費用の高い幼稚園の無償化で、待機児童問題への対策となる

保護者のメリット

  • ● 子育ての負担軽減につながる
  • ● 幼稚園・保育所いずれの施設でも質の高い幼児教育が受けられるようになる
  • ● 今まで費用面で幼稚園に預けられなかった家庭にも選択の幅が広がる

保育士・幼稚園教諭のメリット

  • ● 教育の質向上を目指す目的から、新たな研修制度などが充実する可能性がある

幼児教育無償化の課題とは?

メリットも多く挙げられる幼児教育の無償化の流れですが、反対意見からも見られるように、多くの課題があります。

財源確保の問題

必要公費が大きく財源確保が難しい現状にあります。

入園・入所希望に対する施設と人材不足

無償化することで増加するニーズに対し、幼稚園や保育所の数が不足していること、また働く人材が不十分という課題があります。

認可外保育施設が対象外になっている点

認可保育所に入所できずに認可外保育施設に入所している場合など、現状は無償化の対象外となってしまっています。

施設のサービス変化が無ければ選択肢が変わらない点

幼稚園の短時間預かりのまま無償化を導入しても、仕事を持つ親にとって選択肢の拡大にはつながりにくく、預かり時間などの変更が必要になっている状況があります。

保護者の不公平感

段階的に一部無償化を進めていくと仮定すれば、所得制限がついていることで、不公平感が生じることもデメリットのひとつ。世帯収入をおさえる家庭も出るのでは?という懸念の声もありました。

働く人の負担の増大

幼児教育への期待の大きさを受け、保育士、幼稚園教諭の資格併有、教育の質を高めるための研修の必要が出てきた場合、職員の負担が大きくなる可能性も。人材不足の解消のためにも給与等の待遇改善が望まれます。

編集者より

15年度の幼児教育一部無償化、保育料の引き下げの検討で、大きな議論を呼んできたのが所得制限。格差の是正によって不公平感が生まれたり、一部の世帯の費用負担軽減のために、消費税増税で得た財源が多く消費されるやり方では、多くの国民の理解を得ることは難しいかも知れません。

子育てしやすい社会を作るうえで必要な対策ですが、そういった不公平の是正と同時に施設数や人材の確保、働く人の離職を防ぐ待遇の是正も必要と感じます。
今後も引き続き注目したいところですね。

参考資料

《参考》YOMIURI ONLINE
《参考》朝日新聞DIGITAL

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