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いま、顔や頭にケガをする子どもたちが増えています。友だちと衝突したり、テーブルなどにぶつかったり…子どもにとって、頭部のケガはよくあることですが、近年は「転んだ時とっさに手が出ない」「手で体を支えられない」などから負傷してしまう傾向があるそう…本日は顔や頭にケガをしやすい原因と、ケガ防止のためにできることを考えてみましょう!

保育園や幼稚園で発生するケガの6割が頭や顔?!

泣く保育園児のイラスト
子どもたちが顔や頭にケガをしてしまう…皆さまの勤務先や、お子さまの預け先でも思い当たる事例があるのではないでしょうか?ある調査では、保育園や幼稚園で顔や頭にケガをするケースが、20年前に比べて増加しているという結果が出ています。

ケガの発生部位

驚くことに、保育園や幼稚園などでケガをしたケースのほぼ半数が顔のケガ!頭部のケガを含めれば、6割を超える結果になっています。顔に傷あとが残ったり、ひどく出血したり…重篤な場合には失神や嘔吐などが起こる可能性もあるため、保育施設などでも特に注意が必要です。
 

頭や顔にケガをする理由は「筋力不足」

仲良く遊ぶ女児のイラスト
なぜ、子どもたちに顔や頭のケガが増えているのでしょうか。そこには幼児の「腕の筋力」の不足が関与していると考えられています。東京都が30年前から行っている、5歳児の運動能力調査では、両腕で体を支えて何秒間足を浮かせていられるかを調べており、昭和55年度には平均で80秒支えられたものが、平成22年度では平均48秒となっています。

運動能力の推移グラフ

とっさのときに体を支える運動能力が低下しているからこそ、転んだ際に顔や頭を守りきれずに地面にぶつけてしまう…というのが、ひとつの大きな原因になっているようですね!

《調査結果参考資料》NHKニュース|おはよう日本
 

ハイハイは身を守るためのトレーニング!

ハイハイする赤ちゃん
体を支える力が低下した理由には、手のひらをついて体を支えるといった運動経験の不足が挙げられます。早稲田大学の鳥居俊准教授によれば、以前に比べて、早く赤ちゃんを立たせることによる”ハイハイ”の経験不足も、関与しているのではないかとのことです。ここからは、保育園や幼稚園で取り入れられる”ハイハイ”の動きを活かした遊びをご紹介しましょう!

キャタピラレース

運動会などでおなじみのキャタピラレース。スピードを出そうとすると、体が前のめりになるので、手の使い方がとても大切。楽しく遊びながらも、倒れこみそうになったら自然と手を顔の前につくなど、体の動かし方も学べます!

トンネルくぐり

トンネルのところまでは立って走っていき、トンネルの中をハイハイ。その後は立ち上がりまたダッシュ!一連の動きで、トンネルに入る時に素早く手をつく、手の力を使って起き上がるなど、ケガの予防に必要な動作が身に付きます。

どうぶつごっこ

ワニやライオンなど、4足歩行の動物になりきって体を動かしてみましょう。自然とハイハイの姿勢がとれると同時に、生きものへの関心を持つきっかけにもなります!それぞれ好きな動物になりきって、当てっこしても楽しそうですね!

手押し車

この運動は腕の力がないと、少しも前に進めず、倒れこんでしまいます。必ず柔らかいマットの上などで行い、少しづつ体を支える力を鍛えていきましょう!
 

バランス感覚を鍛えよう!簡単トレーニング

楽しそうに笑う保育園児の女の子
幼児期は、運動機能が急速に発達し、さまざまな動きを身につけやすい時期。5歳になるくらいまでに、いろいろな運動を取り入れることで、身を守るための体の動きを十分に身につけましょう。ここでは、特にバランスを取る力を養える、簡単なトレーニング法をご紹介します!

けんけんぱ

編集者の子どもの頃はよくやった「けんけんぱ」。最近はあまり見かけないですが、片足でジャンプするため、意外とバランス力が必要です。リズムに合わせて行ってみても良いでしょう。

片足上げ

その名のとおり、片足を上げてどれだけ立っていられるか競争する遊びです。腹部の内層筋など体幹も鍛えられるので、バランス力アップの基本になりますよ!

床上綱渡り

ロープやビニールテープなどで床上に線を引き、その上を歩きます。「落ちないように、落ちないように…」慣れてきたら、後ろ歩きなども試してみましょう!

足ジャンケン

片足上げの応用編。土踏まずの形成にも役立つトレーニングです。足の指を開いてパー、ギュッと握るように曲げてグー、親指だけ動かしてチョキ、集中力とバランス感覚、持久力が養えます。
 

万が一に備えて…頭部をケガしたときの対処法

救急箱のイラスト
もしも顔や頭にケガをしてしまった時は、その程度に合わせて適切な処置をするとともに、時間が経ってから症状が現れるケースも考えて、子どもの様子をしっかり観察するようにしましょう。万が一に備え、ここでは基本的な手当ての方法と注意点をご紹介します。

傷口の手当ての基本

水道水を流しながら傷口を洗い、異物や細菌を取り除き、消毒薬で消毒を行います(※)。出血がある場合には止まるまで10分ほど滅菌ガーゼや清潔なタオルで押さえて止血し、ガーゼやばんそうこうで患部を保護します。腫れがある場合には、氷をタオルで包んだものなどで腫れが治まるまで押さえましょう。

※傷あとが残らないように湿潤療法(モイストヒーリング)を行う場合には、消毒液は洗い流したうえで、専用のばんそうこうを貼りましょう。

鼻血が出ているときは…

軽く前かがみにさせ、脱脂綿を親指の先ほどの大きさに丸めます。のどの奥に流れ込んでしまった血液は、飲み込ませずに口から吐き出させましょう。脱脂綿は流血している鼻の小鼻の内側(キーゼルバッハ部位)に詰め、小鼻の上あたりを両側から強めにつまんで、5分から10分ほど圧迫します。

※鼻血が止まらない、繰り返すような場合には、耳鼻咽喉科などを受診しましょう。

食事についての注意点

ひどく頭を打った際は、まずは水分のみを与えて、2時間程度経過しても嘔吐がなければ通常の食事を行いましょう。吐き気が治まるまでは食べ物は控えましょう。

痛み止めの使用についての注意点

市販の頭痛薬など、痛み止めの服用は避けましょう。鎮痛剤が必要なほど頭が痛むという際には、医師の診断を受ける必要があります。

痛み止めの使用についての注意点

意識障害や嘔吐が見られる際には、一刻も早く医療機関を受診するようにしましょう!その他医師の診察が必要となるケースをまとめてみました。

迅速に医療機関に相談する必要があるケース
□ 縫合が必要なほど傷口が大きく開いている
□ 頭痛がひどくなってきたことを訴える
□ 3回以上嘔吐をする
□ 物がぼやけて見えたり、二重に見えると訴える
□ なかなか起きず昏睡状態にある
□ 起こした際にひどく混乱している
□ 歩行や会話に困難がある
□ 明らかにいつもと言動が違いおかしい

編集者より

保育士さんの笑顔
編集者が子どもの頃は外で走り回っていましたが、今の子どもたちは、防犯上や都市化の影響で、なかなか運動ができないこともあります。そういった環境変化も、近年顔や頭にケガを負う子どもが増えている要因になっているのかもしれませんね。

幼少期に必要な運動機能を身につけていないと、成長してからも大きなケガをしやすいもの。腕の力や体の動かし方を身につけられるよう、保育園でもさまざまな運動あそびを、取り入れていきたいものですね。

参考資料

《参考》文部科学省
《参考》こどもプラス
《参考》NHKニュース|おはよう日本
《参考》日本家庭健康プログラム
《参考》白クマ先生の子ども診療所

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