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今まで特に教育に熱心な方の間では「赤ちゃん言葉は使わない方がいい」という考え方がされてきました。しかし近年、いわゆる”赤ちゃん言葉”で話しかけられた方が、子どもたちが早く言葉を覚えるという研究結果が報告されています。今回は喃語と子どもの言語の発達に関する研究を参考に、日々の保育での乳児への話しかけ方のポイントをご紹介します!

赤ちゃん言葉、使う?使わない?

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皆さんは日頃、乳児とのコミュニケーションで”赤ちゃん言葉”=喃語を使っていますか?赤ちゃんにどのように話しかけるかは、保護者の方の考えや保育施設の考え方もさまざまなようです。まずは皆さまのご意見から見てみましょう!

◇赤ちゃん言葉を使う!◇
私たち保育士もその赤ちゃんの言葉をまねて、「そう、アーアーね」とか「ウーウーも言えるね」など、赤ちゃんにまねて言葉を返しながら笑顔を返します。すると赤ちゃんも喜んで、また「アー」と言いながら見つめ返してくるでしょう。
《参考》こぐま保育園|赤ちゃんのことば/喃語
5カ月の娘を育児中です。最近よくおしゃべりするようになり、【あうあうあ〜】とか、【えう〜】とか【あ、く〜!】とか、【ぶー!!】とか。とてもかわいくて、同じ言葉で返していました。
《参考》Yahoo!知恵袋
◆赤ちゃん言葉は使わない…◆
赤ん坊に赤ちゃん言葉で話しかける人が多いけど、発育には普通に話しかけたほうがいいのでは?赤ん坊も普通にしゃべろうと思って、できずに赤ちゃん言葉になってるわけだし。
《参考》Twitter|Shinichiro Andoさん@ANDEUX/dd>

子どもの施設に勤めている保育士です。私も含めて周囲の保育士は赤ちゃん言葉や幼児語は話しません。赤ちゃんが車を見て「ブーブー!」って言ったら「そうだね、車だね」とさりげなく返していました。でも、ホントに大切な事は赤ちゃんが話したい気持ちを大切にすることなのであんまり気にしないでたくさん言葉をかけていくことだと思います。
《参考》Sooda!

「赤ちゃんが発しやすい言葉で話しかけてあげた方が良い」「愛しさが増す」と赤ちゃん言葉を積極的に使っている方もいる一方、「いずれ大人の言葉に直す必要があるから」「正しい標準語を早く教育したい」と喃語を避けている方。正直どちらがいいかわからない…と悩んでいる方もいらっしゃるようですね。
 

赤ちゃん言葉で話しかけた方が言葉の発達が早い!?

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赤ちゃん言葉を使うことの子どもへの影響について、興味深い報告がされているのをご存じでしょうか。米ワシントン大学とコネチカット大学の共同研究によると、乳児は赤ちゃん言葉で話しかけられた方が早く言葉を覚えるという研究結果が発表されています。

◆研究の方法◆
はっきりとした言葉を発さない1歳児26人を対象に、普段の言語環境を4日間にわたって記録。親が赤ちゃん言葉で話しかけているか、赤ちゃんと1対1で面と向かって話しかけているか、他の人もいる状況で話しているか、などを分析しました。
◆研究結果◆
【4日間の記録から分かったこと】
親が高い声色で語尾を伸ばすような赤ちゃん言葉を使い、たくさん語りかけている乳児は喃語をしゃべる回数が多い
【2歳になった時点での語彙数の比較】
・親が赤ちゃん言葉を多く使って話しかける機会が多かった乳児…平均433語
・親が赤ちゃん言葉で話しかける機会が少なかった乳児…平均169語

2歳時点での語彙力の差はおよそ3倍!これは高い声色でゆっくり語尾を伸ばしたり、単純な発音の繰り返しを行うという「赤ちゃん言葉」の持つ特徴が効果的にはたらいているようです。
 
大人の言葉だけを使うことが悪いわけではありませんが、赤ちゃん言葉=ダメ!ではなく、自然とコミュニケーションを取れるツールとして活用してみてはいかがでしょうか?
 

おさらい!赤ちゃんの言葉の発達を知ろう!

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乳児、特に1歳までには赤ちゃんの言葉の能力はどんどん発達しています。赤ちゃんの喃語の発達について少しおさらいしてみましょう!

◆ 0~4カ月
個人差はあるものの、だいたい2カ月近くになると、話しかけられたり、気分の良いときには「あー」「うー」などの叫び声以外の声を発するようになります。
◆ 4カ月頃
4カ月~8カ月頃にかけてが、最も喃語が活発に出る時期。初期段階では「あー」など聞きやすく発しやすい母音から覚えていきます。
◆ 5カ月頃
「ぷー」「ばー」「きー」など、子音を発するようになるのがこの頃。離乳食などをかむことで口唇が鍛えられていきます。また注意を引くために自発的に発声するようになります。
◆ 6カ月頃
「まんまんまんまん」などつなげて発音する喃語を発するようになります。のどや鼻など発声器官が大人とは異なり、鼻にかかったような音を出します。マ行が特に多いようです。
◆ 8カ月頃
この頃には「ばいばい」「にぎにぎ」など、言葉と共に行う身ぶりがなんとなく理解できるようになります。
◆ 10カ月頃
喃語の量が減り、意図・意思を伝えるための声を発するようになります。たとえば来客に対して「あ」と言って母親の顔を見るなど、相互コミュニケーションの機能が果たせるようになってきます。また欲しいものに指をさして要求するのもこの頃からで、要求の意を含めて「あ」「え」「ん」などと発音します。

言葉の調子から相手の持つ感情のニュアンスをつかんだり、母国語と外国語の違いをなんとなく理解したり、身ぶりと言葉の理解が重なって「ママどこ?」と聞かれた際にきょろきょろして探すなどの行動がとれるようになっていきます。
 

乳児への話しかけのポイント

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子どもの言語発達を促すには、単に赤ちゃん言葉でたくさん話しかけるだけではなく、どう話しかけるかということも重要です。では具体的にはどのようにコミュニケーションをとれば良いのか…そのポイントをご紹介します。

◆ 言葉を発したら笑顔で反応を!
「あ」「え」といった短い発声にも、「ご機嫌なんだね~」など笑いかけ、反応してあげましょう。「聞いてくれている」という安心感とともに、コミュニケーションをとることは楽しいことなのだと感じ、より伝える意欲が生まれてきます。
◆ 無理に言葉を教えない
喃語が発達してくると、言い間違いなどもあるかと思いますが、「これはにゃーじゃなくてわんわん、言ってみて?」などと教え込むことは、乳児の伝えたい気持ちをそいでしまいます。自然に言い直すなど、あくまでさりげなく正しい言葉を教えてあげるようにすると良いでしょう。
◆ 赤ちゃんが興味を持ちやすい声色を心がける
生まれて間もない赤ちゃんは、父親の低い声よりも母親の高い声に良く反応すると言われています。意識して少し高めの声で語りかけるのがオススメです。口角を上げることを心がましょう。
◆ きちんと赤ちゃんと向き合う
コミュニケーションにおいては最も重要なポイント。物理的にも目線を合わせ、正面から顔が合うように抱っこして話しかけると、赤ちゃんも一生懸命こちらを向いて聞いてくれます。
◆ しっかり聞いてあげる姿勢を見せる
赤ちゃんが話しているときは、「うん、うん」とうなづいてあげるなど、聞いていることを目にもわかるようにしてあげましょう。何を話しているかわからなくても相づちをうちながら傾聴しましょう。
◆ ゆっくり、短く/語尾を伸ばす
喃語の特徴のひとつは短い単語の繰り返しであること。聞き取りやすいように、少しゆっくりとしゃべりかけてあげましょう。また、「○○だね~」とやさしく語尾を伸ばすことも意識すると良いでしょう。
◆ 気持ちを代弁してあげる
例えばごはんの時に「まんま、おいしいね~」と話したり、痛くて泣いているときに「痛かったね~」となでてあげたりすることで、赤ちゃんはその感覚が「おいしい」「痛い」とものなのだと自然に理解していきます。
◆ 積極的に話しかける
赤ちゃんは声をかけてもらうことが大好き。お天気や赤ちゃんが見ているものについて「ぽかぽかして気持ちいいね」「お花きれいね」などたくさん話しかけてあげる機会を作りましょう。

 

赤ちゃん言葉が楽しめる絵本

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喃語を使って赤ちゃんとのコミュニケーションをとる際に、絵本を活用してみてはいかがでしょう?同じものを見て、言葉を発し、共有する時間は子どもにとっても大変楽しい時間になるはずです!


▲ 初期の喃語は擬音語や擬態語が中心。絵本をめくる度に出てくる楽しいクレイアートの顔と、だっだぁー、むちゅむちゅなどの赤ちゃん特有の喃語の響きで、赤ちゃんとの楽しいコミュニケーションの時間が作れます。



▲「んぐまーま」っていったい何?喃語の響きとともに、主人公んぐまーまが移動していきます。谷川 俊太郎さんが画家の大竹伸郎さんとタッグを組んで繰り広げる不思議な世界観の絵本。



▲ 水が「じゃあじゃあ」、犬が「わんわん」…身近なものの音が色彩豊かな絵とともに綴られていきます。子どもたちにとって音の響きは世界を表現するもの。一緒に読んで、子どもたちの世界を広げてあげましょう!
 

編集者より

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子どもたちが実際に何が伝えたいかは明確にはわからなくとも、「ちゃんと聞いているよ」「傍にいるからね」という気持ちを込めて接してあげることが、子どもにとっては何より安心材料になることでしょう。

喃語もうまく取り入れつつ、赤ちゃんとのコミュニケーションをたくさん取って、子どもたちの健やかな成長をサポートできたら良いですね。

参考資料

《参考》mamaPRESS ママプレス
《参考》gooベビー
《参考》マイナビウーマン

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