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保育士を目指す男性や男性保育士にとって、気になるのはやはり年収や将来性ではないでしょうか。今回は2016年6月時点での最新データをもとに、男性保育士のお給料や待遇、将来性について詳しくお伝えいたします。

男性保育士のお給料事情(平成27年/2015年のデータ)

男性が保育士を目指す場合、やはりいちばん気になるのはお給料事情ではないでしょうか。2016年6月時点で最新のデータに基づいてお伝えいたします。

30歳男性保育士の平均年収

2015年時点の30歳保育士の平均年収は358.4万円(差引前)です。詳しいデータは以下のとおりです。

年齢
30.6歳
勤続年数
5.8年
月収(※1)
245,475円
賞与(※2)
638,375円
年収(※3)
3,584,075円
※1 もろもろ差引前のもの。厚労省の資料では「きまって支給する現金給与額」との表記
※2 厚労省の資料では「年間賞与その他特別給与額」との表記
※3 月収×12 + 賞与
※ 調査対象人数は23,340人
※ちなみに女性保育士の月収は男性保育士よりもさらに2万円ほど低いです。
データ元:厚生労働省 平成27年賃金構造基本統計調査 
職種・性、年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額

30代前半男性の平均年収

2015年時点での30〜34歳男性の平均年収は438万円です。

30歳男性保育士と同年代男性の平均年収を比較

ここで、2015年時点の30歳男性保育士と同年代男性の平均年収を比較してみましょう。
438万円 – 358.4万円 = 79.6万円
30歳保育士は同年代男性よりも年収が80万円ほど低いということになります。

やはり男性保育士は経済的に厳しい面が

30歳のときの1年間で、男性保育士とほかの業種の男性との間には80万円の収入差があることがわかりました。

この状態が仮に30年続くとすると、累計の収入差は2400万円にもなります。保育士の給与のアップ幅はほかの業界よりも小さいと言われていますから、もっと大きな差が出る可能性もあります。

やはり、男性保育士はほかの仕事に従事する人よりも経済的に厳しい面があり、かなりの覚悟や熱意がなければ続けるのが難しいところがあるのかもしれません。

男性保育士の待遇

保育士資格に加えほかのスキルが求められる現状

男性保育士はまだまだ少ないですし、残念ながら「少数派の男性をわざわざ雇うメリット」がないと雇ってくれないところも多いようです。
絵が描ける、ピアノやギターなどの楽器が弾ける、バスが運転できる、などといった、保育に役立ちそうなスキルがあればアピールしてみましょう。
体操指導が得意だと、男性は特に重宝されるでしょう。幼児体育指導者ジュニアスポーツ指導員など、関連の民間資格がありますから、スポーツに自信のある人はこういったものをとっておくのがおすすめです。

工夫して手当をアップしようとしてくれる園も

園の側は、男性保育士のお給料自体を「男性だから」という理由だけで上げることはできません。ですから、できるだけ何か特別な仕事を与え、手当をつけることで収入を増やしてあげよう、という対応をしてくれる園もあるようです。

幼稚園実習先の園長先生に以下のように言ってもらえました。
「男性だからと特別に給料を多めにすることはできない、だから男性では心細い給料となる。でも雇うならそれなりに増やしてあげたい気持ちはある。例えばバスの運転手もやってもらって、その手当をつけたり、サッカー教室を外部委託するのであれば、その分手当で給料を上げることだって考えてあげたい。」
―保育士の年収、男性の給料じゃ心細い?

新しく園を探すときには、こういったお給料以外の手当の面についてよく確認し、自分が何かアピールできるスキルがあれば積極的にアピールしていきましょう。

男性保育士の結婚をめぐる実情

給料が低いからといって結婚できないかというと、そういうわけでもないようです。こちらの記事によれば、夫婦共働きという形で結婚している男性保育士さんもたくさんいるとのことです。逆に言えば、男性保育士さんがその1人の収入だけで妻や子どもを養っていくのはなかなか厳しい、ということも言えるのかもしれません。

でも、子どもが生まれた場合、保育士さんは専門的な知識経験を活かして良い子育てができそうですよね。女性の同僚やママたちと多く接する職場に働くわけですから、奥さんに対してよりよい夫であることもできるでしょう。

「自分は保育士だから結婚相手としてダメなのでは?」などと悩む必要はありません。結婚を考えるときには、相手の方に共働きしてもらえるようにお願いしてみたり、保育士以外で副収入を得られる手段がないか考えてみたりして、いろいろな手段を探ってみましょう。

男性保育士は肩身が狭い? 現状と対策

最近まで保育士は「女性の仕事」とされてきました。男性保育士はまだまだ少なく、残念ながら働くうえでの環境整備が不十分だったり、保護者の方から偏見を受けたりすることもあります。

子ども(特に女児)に対して性的加害するのでは、という目で見られる

これは、悪いのは子どもに性的加害をする犯罪者ですよね。簡単にいえば、まじめに子どもに向かい合っている男性保育士さんは完全にとばっちりで偏見を受けているわけです。

しかし自分が親だったらと思うと、子どもの安全を思うあまり敏感になってしまい、内心「男性保育士にはできるだけわが子に触れてほしくない」「この人は大丈夫かな?」と不安に思ってしまう保護者の方がいるのも理解できる気がします。男性によるものよりも件数が少ないだけで、女性加害者による性犯罪も実在しています。

実際に、一部の保護者からの反対の結果、一部の保育に携われない男性保育士が出た例もありました。男性であるというだけで関われる保育が制限されるなんて…こういった現状は男性保育士にとってはほんとうにつらく、悔しいものですね。

こういったなかでもできることはあります。普段の保育や保護者対応を地道にがんばって、園や保護者の方々から「この人なら信じて任せて大丈夫」という信頼を勝ち取ることです。どうか、偏見に負けずに堂々と仕事にあたり、男性保育士がいて当たり前の保育園業界を形づくっていってください。

男性トイレ・男性更衣室がない

これは最近まで男性保育士がほとんどいなかったことによる環境の不備ですね。我慢する必要はありません。トイレや更衣室など業務上必要な環境は、労働者として求めて当然の権利です。堂々と主張していきましょう。後輩たちのためにも、「園の環境を僕が変えてやる」ぐらいの気持ちでもよいと思います。

女性保育士との関係に気を遣う

「女の園」のような園内で、男性保育士は自分ひとりだけ、という人も多いと思います。多勢に無勢で何を言うにも気を遣いますし、気軽に仕事の相談もしにくいですね。それに園内でも園外でも、同僚のほとんどが異性であるところから、すぐに「A子先生とB男先生はどういう関係なの?」などと勘ぐられがちで、気疲れすることも多いでしょう。

仕事の愚痴を吐ける友人や男性の同業者を複数見つけておくのも大事ですし、どうしてもつらいようならカウンセラーなどの専門家に頼るのも一手です。また、たとえ仕事の話であっても園外で女性保育士と2人きりで会うことは避けるなど、余計な勘ぐりを受けないで済むような対策をとり、女性の同僚とは一定の距離感を保っておきましょう。

男性保育士の将来性

活躍の場の広がりの可能性

保育園には、男性ならではの活躍の可能性がたくさんあります。

防犯対策

女性しかいない園は、どうしても良くない輩にとってはターゲットにしやすいようです。不審者であっても理不尽なクレーマーであっても、男性が出てきただけでピタッとおとなしくなるというケースはやはり多いようです。園に男性保育士がいることの防犯上の効果は高いでしょう。

お出かけ時の男児トイレ対応

お出かけ時に園児がトイレに行きたくなった場合、女児ならば女性保育士がトイレ内までついていくことができますが、男児の場合はトイレの戸口までしかついていけません。男性保育士なら男性トイレに入れるので、この点は非常に重宝されているようです。

力仕事・汚れ仕事

重いものを運ぶ、危険な場所での作業、汚れるような作業は、女性保育士の代わりにできるととても喜んでもらえます。

体力を使う遊び

特に活動の激しい男児などは、身体を使う遊びや体操を喜びます。女性では対応しきれないこともあるようですが、男性の力を活かしたパワフルな遊びができるととてもよいですね。

父親・お兄ちゃん役

男性は園の中での父親やお兄ちゃんのような役目を果たせます。とりわけ男児にとっては、同じ気持ちを共有したり、男性としてのロールモデルを示したりできる貴重な存在になれるでしょう。

男性保護者の相談相手

女性ばかり多い園が男性保育士にとって居心地が悪いことがあるように、園に来るお父さんたちもまた居心地の悪さを感じることがあるでしょう。同性どうしとしてもろもろの相談を聞くこともできますし、男性どうしだからこそしやすい子育てアドバイスもあると思います。
いままで注目されてこなかっただけで、よりよい保育のためにはやはり男性保育士が必要なんですね。自信を持って乗り込んでいきましょう。

ベース賃金アップの可能性

安倍首相は2016年、保育士の月給アップの計画を発表しました。

あまりのアップ幅の小ささに落胆や怒りの声も続出していますが、まずは一歩です。ベース賃金アップを求める運動はいま盛り上がってきています。今後、特に知識経験・スキルの高い保育士には大きな賃金アップも計画されているようですから、期待しすぎず希望を捨てずにいきましょう。

男性が保育士の資格・経験を活かして長く働くには

これはほかの対人支援職でも言えることですが、直接に支援対象(保育士では子ども)に関わるだけでなく、「専門知識を活かした講師や発信者として活躍する」という道もあります。

たとえば幼児体育のスキルがある人であれば、それを極めれば講習の講師ができるようになるかもしれません。その他、リトミック、音楽指導、読み聞かせ、幼児向けの英語指導その他、何か強みがあればその分野の講師の道が期待できるでしょう。

文章が書ける人であれば、情報を詰め込んだブログなどを書いて副収入を得る、という選択肢もあります。

保育士はとても専門性の高い国家資格です。あなたの知識経験を必要としている人たちはたくさんいるはず。あなたを活かしていく道を、貪欲に追い求めていきましょう。

編集者より

いかがでしたでしょうか。男性保育士は現在のところ、残念ながらお給料面や環境面のハードルが高いです。しかし、今まで注目されてこなかっただけで、やはり保育の現場に男性保育士の力は欠かせません。子どものために尽くしたいという熱意を持った男性保育士に、どんどん活躍していってほしいと思います。

参考文献

保育のお仕事
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