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「公務員保育士」とは? 給料・待遇・採用試験・私立保育士との違いを解説

雇用が安定していて福利厚生がしっかりしていることから、近年、保育士さんの間で「公務員保育士」の人気がどんどん高まっています。

しかし「公務員保育士ってどうやったらなれるの?」「私立保育園で働くのと何が違うの?」と疑問に思う人もいるでしょう。

この記事では、公務員保育士が気になる人のために私立保育園との違いや採用試験について解説しています。ぜひ参考にしてくださいね。

公務員保育士とは

パペット保育士シッター

公務員保育士は、自治体が運営している保育園などに勤務する保育士のことです。そのため、公務員保育士は地方公務員という扱いになります。

指定の保育園に応募するのではなく、自治体の管轄内で保育士として勤務することになります。
つまり、配属先が保育園ではない可能性もあるのです。

児童養護施設や養護施設など、配属先は自治体によって多岐に渡ることが公務員保育士の特徴といえます。

公務員保育士になる4つのメリット

公務員保育士になるメリットは主に以下の4つ。

  • 昇給やボーナスがある
  • 福利厚生がしっかりしている
  • 失業のリスクが少ない
  • 社会的信用が高い

ひとつずつ、くわしく見ていきましょう。

昇給やボーナスがある

公務員保育士は地方公務員という扱いなので、基本的に毎年昇給します。
つまり、勤続年数が長くなればなるほど給料も上がっていきます

ボーナスも支給されますし、安定して長く働きたい保育士さんにとっては大きなメリットと言えるでしょう。

福利厚生がしっかりしている

福利厚生も地方公務員と同じように受けられます。
有給、育休や産休なども制度が整っているので、比較的お休みが取りやすいです。
むしろきちんと取らないと問題になるため、安心して取得できるでしょう。

失業のリスクが少ない

公務員保育士は「自治体の職員」です。
そのため、もし勤務していた保育園が民営化や統廃合によりなくなることがあったとしても、失業することはありません。
自治体内の違う園に行くか、保育士が足りていれば役場勤務になるか……。いずれにしても、配属先が変わるということになります。

失業のリスクが少ないので、安心といえるでしょう。

社会的信用が高い

公務員保育士は地方公務員なので、社会的信用が高くなります。
そのため、ローンやクレジットカードの審査に通りやすいといえます。

公務員保育士になる上での注意点

保育士の体調

公務員保育士になる上で起こりうるデメリットは主に以下の3つです。

  • 異動がある
  • 採用試験の倍率が高い
  • 採用試験の受験資格がある

「こんなはずじゃなかった…!」とならないよう、デメリットについてもしっかり確認していきましょう。

異動がある

公務員保育士は公務員なので、異動があります。
一般的に3~4年ほどで配属先が変わることが多いようです。

そのため、

  • 異動先が希望の配属先ではなかった
  • 通勤時間が長くなってしまった
  • 関わった子どもたちを卒園まで見届けられない

といったことが起こります。

配属先の希望を聞いてくれるケースもありますが、それが実際に叶うかは別問題。
1つの園で長く働きたいという場合は、私立保育園を選んだほうがいいかもしれませんね。

採用試験の倍率が高い

「地方公務員」の扱いが受けられることから、公務員保育士の人気は年々高まっています。
しかし昨今では民営化の流れで公立保育園が減ってきていることもあるため、公務員保育士は狭き門と言えるでしょう。

しっかりとした採用試験対策が必要です。

採用試験の受験資格がある

公務員保育士の採用試験には、受験資格が設けられている場合があります。

例えば年齢制限。
「30歳以下の保育士」など、あらかじめ決まっているケースもあるので、その点は早めに確認しておきましょう。

その自治体に住んでいるかどうか、も条件になることがあります。
ときには「その自治体に今後も住む意志があるかどうか」を確認されることも。

自治体側としても、採用した保育士さんには少しでも長く働いてもらって、自治体に貢献してほしいもの。
特に地元ではない自治体での採用試験を受ける場合は、「なぜここで働きたいのか?」を明確に説明できるようにしておきましょう。

公務員保育士と私立保育園の保育士を比較

2歳

ここからは、公務員保育士と私立保育園の保育士をさまざまな項目から比較していきます。
ご自身が重要視するポイントはどこか、しっかり確認しておきましょう!

給料

常勤の場合、公務員保育士と私立保育園の保育士の年収(賞与込)を比べてみました。

公務員保育士
私立保育園の保育士
364万円
362万円

(参考:令和元年度幼稚園・保育所・認定こども園等の経営実態調査集計結果

こうして見ると、大きな差はないように思いますよね。
しかし公務員保育士は昇給が見込めるほか、役職に就くとさらに給料がアップします。

私立保育園も昇給がありますが、公務員保育士のように勤続年数によって昇給するものではありません。
長く勤めれば勤めるほど、給料に差が出てくるといえるでしょう。

勤務時間

延長保育や休日保育を実施しているかどうかで、保育士さんの勤務時間は大きく変わってきます。
どちらかというと私立保育園のほうが、実施している場合が多く見受けられますね。

公務員保育士はあくまでも「公務員」のため、勤務時間や休日はしっかり決められているのが特徴です。

保育内容

公立保育園はどちらかというと保守的で、以前からやってきたことをそのまま続けている傾向が見受けられます。
歴史の長い園が多いため、その園独自のやり方や雰囲気がずっと継承されているのでしょう。

保育内容に関しては私立保育園のほうが自由度も高く、各園の特色が出る部分だと言えます。
私立保育園を選ぶ場合は、その園の特色や方針が自分に合っているかどうかもきちんと検討しましょう。

公務員保育士になるには?

では、どうしたら公務員保育士になれるのでしょうか?

公務員保育士になるには、まず「保育士資格を持っている」もしくは「次年度の4月までに保育士資格取得見込みである」ことが大前提です。
その上で自治体が実施する採用試験を受け、合格する必要があります。

一次試験で筆記試験、二次試験で面接というケースが多いみたいだホィ。ただ、これも自治体によって違いがあって、実技試験が行われる場合もあるホィ。

採用試験の実施については各自治体からお知らせが出ますが、その時期は特に決まっていません。
だいたい6~8月に出ることが多いようです。

「来年度から公務員保育士になりたい!」と思っているのなら、早めに自治体に詳細がいつ出るのか確認しておくことをおすすめします。

自治体判断で「欠員がない」とされた場合は、採用試験が実施されないこともあるよ。

公務員保育士採用試験について解説!

点検・虫眼鏡

公務員保育士の採用試験は、自治体ごとに違いがあります。
しかし内容そのものに大きな差はありませんので、ここでは八王子市を例にして解説していきます。

まず、一次試験です。
セルを縦に結合する

一次試験
教養試験 社会、人文、自然に関する
一般知識を問う問題
20問
文章理解、判断推理、
数的推理、資料解釈に関する
能力を問う問題
20問
論文試験 課題に対して論文を書く 1,200文字程度

高校卒業程度の内容が出題されます。

一次試験に合格すると、次は二次試験です。

セルを縦に結合する

二次試験
適性検査 仕事の適応力などについての筆記による検査
グループワーク 課題を集団で取り組む
口述試験 個別面接

(参考:八王子市「平成31年度(2019年度) 八王子市職員採用試験募集要項」

二次試験に合格すると、晴れて公務員保育士です。

八王子市の場合、一次試験と二次試験の総合得点が高い人から配属先が決まっていきます。
そのため、「実際働けるのはいつ?」「配属先が決まらないままのこともあるの?」と不安に思う人もいるかもしれません。
けれど、そもそも欠員や増員を見越しての採用ですので、「合格したけど結局働けなかった」というケースはめったにないようです。

ちなみに八王子市の2019年度採用試験において、保育士は応募者数61人に対し合格者4人。
倍率約15倍という狭き門になっています。

知っておきたい! 公立保育園の雇用形態

公務員保育士は公立保育園で働くことが多くなります。
しかし、公立保育園のスタッフ全員が正規職員であることはめったにありません。

公立保育園には、以下の4つの雇用形態があります。

  • 正規職員
  • 臨時職員
  • 嘱託職員
  • 派遣保育士

どのような雇用形態の人たちが公立保育園で働いているのか、確認しておきましょう。

正規職員

正規職員は、自治体の実施する採用試験に合格した保育士です。
基本的にフルタイムで働き、固定給。ボーナスがあり、福利厚生もしっかりしています。

基本的に担任クラスを持たされるポジションで、勤続年数が長くなると、主任や園長などのより責任のある立場になっていきます。

臨時職員

臨時任用された職員のことを一般的に臨時職員といいます。
6ヶ月ごとの更新となり、給料形態も日給や時給など自治体によって異なります。

正規職員の補助といった役割が多くなりますが、担任をする場合もあります。

嘱託職員

嘱託職員は、臨時職員と同じ部分もありますが、1~3年程度の契約の場合が多くなっています。

定年退職された方が嘱託職員になり、数年契約で再雇用されるというケースがほとんどです。

派遣保育士

ここまで紹介した正規職員・臨時社員・嘱託職員は各自治体に雇用されていますが、派遣保育士は人材派遣会社と雇用契約を結んでいます。

そのため、残業がない場合が多いので、働きやすいと人気を集めています。

給料は時給が多く、福利厚生などは人材派遣会社によって異なります。

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編集者より

公務員保育士は倍率が高く、狭き門ではありますが、給料面や福利厚生の充実という面においてメリットが大きい働き方です。
異動があるなどデメリットはありますが、長く安定して働ける点は魅力的かもしれません。

受験資格等がありますのでしっかりチェックして、ぜひ公務員保育士に挑戦してみてくださいね。

参考文献・サイト

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