保育ノウハウ

パネルシアターの魅力と基本の作り方!演出で子どもを夢中にさせよう

子ども達のリアクションを見ながら臨機応変に内容を変えたり、歌を挟んだり……。
保育士さんのアイデアと演出次第で、子ども達を夢中にさせられる楽しい人形劇。それが、ネル布(パネル布)を張ったボードを舞台にさまざまな物語を展開できるパネルシアターです。

ただ楽しいだけではなく、子どもの積極性や観察力を高めることもできる遊び。
今日はそんなパネルシアターの魅力と作り方、演出の工夫をまとめました!

パネルシアターって何?みんなの作例を見てみよう!

パペットを持つ保育士さん

パネルシアター」とは、特殊な布を巻いたパネルボードを用いた人形劇のこと。
Pペーパーと呼ばれる特殊な不織布でできている絵人形を、貼ったり、はがしたり、動かしたりしながらストーリーを展開させます。
子ども達に語りかけたり、クイズを出したり、その場で内容を変えてみたりと、さまざまな楽しみ方ができるのがおおきな魅力です。

絵人形の作り方を工夫すれば手品のような演出もできるので、子ども達も途中で飽きることなく楽しめるでしょう。
保育士さんが作成したパネルシアター作品をいくつか見てみましょう!

おでん屋さん

おいしいおでんをテーマに、歌や手遊びを交えながら展開されるパネルシアター。おでん種もそれぞれにいろいろな工夫がされていて、パネルシアター制作や、演出案を考えるうえでとても参考になります!

すてきな帽子屋さん

ケロポンズ・増田裕子さんによる「すてきな帽子屋さん」の実演動画。森の中の帽子屋さんが、動物達に似合う帽子を選んでくれます。歌もお話も動きも楽しいパネルシアターです!

プレゼント

保育士チャンネル・みー先生の、クリスマスの時期やお誕生日会にぴったりな作品。色鮮やかなプレゼントが可愛くて華やかですね!

応用編!ブラックライトシアター

蛍光塗料を使ってブラックライトで照らせば、美しく輝く幻想的なパネルシアターに!動画は「サンタが街にやってきた」に合わせて展開されていきます。ブラックライトを使った演出は、クリスマスのほか、花火、水中の演出にぴったりです。

子どもの積極性を引き出す!楽しいだけじゃないパネルシアターの魅力


パネルシアターはただ楽しいだけではなく、子ども達の成長にも良い影響を与えるとされています。

積極性・話す力が身につく
おはなしの途中で応答したり、歌ったり踊ったりすることで、自然と子どもたちの積極性や話す力を引き出すことができます。
集中力・観察力・想像力が身につく
変化に富んだ演出を見るなかで興味や関心が高まり、「次はどうなるのだろう」「こんなものが出てきたぞ!」と集中して場面を観察し、次の展開を想像する力が身につきます。
表現意欲をかき立てる
見ていくうちに「自分も作ってみたい」「演じてみたい」という意欲が湧きます。登場させたいキャラクターを自分で作る、オリジナルのおはなしを展開するなど、表現する力を身につけることにもつながります。
子どもの発達に応じたアレンジができる!
パネルシアターが魅力的なのは、自由自在にアレンジして演じることができる点です。見せる子どもたちの発達段階に応じて展開や演出を変えることで、身につけてほしい力を伸ばす手助けができるでしょう。

あなたのセンスが光る!基本の作り方


既に園でパネルシアターを作っている!という保育士さんも多いと思いますが、ここで基本的なパネルシアターの作り方をおさらいしてみましょう。

制作に必要な材料
● Pペーパー(不織布)※
● ネル布(パネル布)※
● ベニヤ板・段ボール・スチロール板など
● 鉛筆
● 油性フェルトペン
● はさみ
● 絵の具・筆(アクリルなどが発色が良い)
仕掛けつきの絵人形を作るときは、
● カッターナイフ
● ボンド
● 刺繍糸・縫い針
なども必要になるよ。
Pペーパーとは

パネルシアターの創始者である古宇田亮順氏が名付けた呼び名で、不織布の一種です。ネル布の起毛にPペーパーが引っかかることで絵人形が張りつきます。三菱のMBSテックなどが代表的です。小さな文房具店などでは手に入らないこともあるので、インターネット通販や大型のホビーショップなどで購入しましょう。

ネル布とは

綿織物を起毛した布生地のことです。ネルはコットンフランネルの略称。パジャマなどにも使われる一般的な布地なので、手芸店などで入手できます。片面のみ起毛した片面ネルと両面を起毛した両面ネルがあります。

基本的な作り方
1 用意したベニヤ板などにネル布を張ります。巻き付けて布地をぴんと張り、板の後ろでガムテープなどで貼ればOK。片面ネルの時には、起毛が外がわになるように注意しましょう。
2 Pペーパーに鉛筆で下書きをしたら、油性ペンでなぞっていきます。
3 線にそってアクリル絵の具などで色を塗っていきます。
※蛍光塗料で塗り、パネルボードのネル布を黒にすれば、ブラックライトシアターとして演出できます。
4 着彩が終わったら、よく乾かして、絵具で消えてしまった油性ペンの線をもう一度なぞります。
5 持ち手となる部分を残して、外側を切り抜いていきます。

Pペーパー、ネルだけで作る仕掛け【基本編】

ではここからは具体的な仕掛けの種類とカンタンな作り方をご紹介しましょう!
ヒナちゃんママ

◆表裏張り合わせ

その名の通り、裏表で違う絵を描いたPペーパー同士を貼り合わせ、反転させることで場面を素早く切りかえる仕掛け。魚が池に飛び込む、動物が背中を見せるなど、シンプルでもアイデアはいろいろ!
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◆袋貼り

同じ形のPペーパーの部品の、外側の部分だけをのり付けし、貼り合わせることで、空洞のある構造にする方法です。ビンのフタや帽子などを作るときに活用しましょう!

◆裏打ち

大きな絵人形の上に、小さな絵人形を重ねて置きたい時に使います。Pペーパー同士はくっつかないため、小さな絵人形の裏にネル布を貼っておくことで、重ね張りを可能にします。

◆切込み(着せ替え人形の要領)

絵人形の一部に切込みを入れておき、パーツを重ねて余分な部分を差し込むことで、固定する方法。着せ替え人形のイメージです。

◆切込みポケット

絵人形に切込みを入れ、後ろに補助のPペーパーを貼ることでポケット状にする方法です。ポケットの中に、なにかを隠しておく時などに便利!

◆重ね張りポケット

ポケットの形に切り抜いたPペーパーを、土台となるPペーパーの上に重ね、縁の部分だけのり付けする方法。カンタンにポケットができ、その中にアイテムをしまっておけます。

◆蓄光塗料

これはブラックライトシアターを行う場合に有効な手段です。光を蓄積し、暗くしてもぼんやりと光る塗料を使えば、ライトをパッと消して、いきなり別の形が浮き上がる…といった演出も可能です!
 

糸やガーゼを使った仕掛け【応用編】

ヒナ

◆糸止め

まず手足や頭と胴体など、動きを付けたい部分を別々に作っておきます。糸を通し、玉止めして固定して、動くようにすれば完成!手間はかかりますが、まるで生きているような、躍動感のある演出ができるようになります!細い糸だと切れてしまうため、2重にするなどの工夫をしましょう。
くまのこのイラスト
くまのこの絵人形

◆窓開き

Pペーパーは折り目を付けても、完全に折れ曲がるわけではなく、戸棚の扉や窓を作るには適しません。そのため、ガーゼなど柔らかい素材を蝶番にして、接着しておけば、きちんと扉が閉まるようになります。扉意外にも、ものの中身を見せる、表情をパッと変えるなど、いろいろな使い方ができます。

◆引っ張り

糸でつないだ絵を引っ張り出すなどして動きを出す方法。たまごからひよこが次々出てくる、歌を歌うときに音符が出てくるなど、絵人形に仕掛けをつけておいても良いですし、単体の絵人形に糸を付け、パネルの裏にたらしておけば、引っ張るだけでお日さまが昇る様子などを演出できます。

遠くからでも見える!イラストの描き方のポイント

マモル
パネルシアターは大勢の前で演じるため、遠くからでもわかりやすい絵人形作りが大切。まずは基本的な絵人形の作り方もかね、ポイントをご紹介します!
「保育のお仕事」のマスコットキャラクターホィ君のオリジナルイラストです!

■用意するもの■

●Pペーパー ●鉛筆・下描き用の用紙
●マジック(太/中太) ●ボンド
●ポスターカラーや絵具などの着色用画材
●絵筆 ●ハサミ ●カッター ●糸(凧糸や縫い糸など)
【point】
Pペーパーはインターネットでも購入が可能です。折れ曲がると元に戻りにくいので、必要に応じ宅配サービスを活用すると便利。パネル布なども購入できます!
■下描き■

画用紙などに人形の下絵を描き、Pペーパーに写します。鉛筆で描きこむことができますが、消すことは難しいので慎重に!
■着彩■

縁取りの前に、絵の具などで色を付けていきます。グラデーションなどは乾いてから色鉛筆などで行うとやりやすいです!
【point】
Pペーパーは発色が通常の画用紙よりも鮮やかで、ポスターカラーのみでなく、一般的な水彩絵具、色鉛筆、クレヨンでの着彩も可能です。にじみやすいので、隣接する部分は、乾いてから塗るようにしましょう。
■縁取り&カット■
ほいくんの絵人形
完全に乾いたら、マジック等で縁取りを行います。くっきり見せるにはアウトラインをくっきり太く描くのがポイント!完成したら線に沿って切り抜きましょう。
【point】
外側のアウトラインは特に太く、中のラインはそれより若干細く描くのがポイントです。吸水性が良く、かすれやすいので、重ねるように小刻みに縁取っていきましょう!

演じ方の基本

初めてパネルシアターに挑戦する保育士さんの場合、どのように演出したらいいか迷ってしまいますよね。
ここでは初めての方でも楽しくできる、基本の演じ方をご紹介します。

会場の設置

ステージは子どもの目の高さに設置し、子どもが見やすいようにつくります。
パネルに人形を貼るので、子ども達には少しパネルから離れてもらいましょう。

パネルボードの設置

パネルはイーゼルなどを使って多少の傾斜をつけ、子ども達が見やすい高さに調整します。
接着剤などを使っているわけではないので、垂直にしてしまうと絵人形が滑り落ちてしまいます。
同様の理由で、冷暖房や扇風機の風が当たるところには設置しないように注意が必要です。

基本の演出の仕方

保育士さんは、利き手がパネル側になるように袖口に立ちます。そして人形をボードに貼るときは、立ち位置から遠い順に貼っていくとよいでしょう。
曲がっていないか確認しやすいですし、洋服の袖などにひっかけて絵人形を落としてしまうことも少なくなります。
初心者のうちは展開に集中してしまいがちですが、子どもたちの反応をしっかり受け止めながら、慌てずに進めていきましょう!

絵人形を貼るとき、舞台を遮らないように手だけ伸ばして貼ろうとする保育士さんもいるホィが……堂々とパネルの前に出て演じて大丈夫ホィよ!
人形を貼ったら振り返って、子ども達に声掛けするようにしよう。背中だけを見せないように注意してね!

応用の演出例

◆引っ張り
絵人形に玉止めしておいた糸を引っ張って絵人形を動かす演出方法。
糸のついた人形を貼るときにそっとパネルボードの裏に糸を垂らしておくのがポイントです。後で引っ張れば、太陽が昇る演出なども魅力的にできます!

◆ずらし貼り
何枚もの絵人形を重ねて持ち、パネルボードに広げていく手法です。手のひらサイズの絵人形なら、何もないところからものが現れる手品のような演出ができます。


パネルシアターの良いところは、なによりも視聴者参加型という点。興味津々でパネルの目の前まで寄ってくる子、問いかけに大きな声で応じる子…演じる際には、おはなしの展開や演出だけにとらわれず、見ている子どもの様子をよく観察してあげたいところです。

作成した絵人形は汎用性もあり、他のストーリーを演じるときにも使えます。
表裏で別々の表情にしたり、手足を動かせるようにしたり……自由に工夫できるのが、作り手側にも楽しいですよね。
どんどん上演できる作品を増やして、パネルシアターで子どもたちを魅了してあげてくださいね!

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